グッドスキルマーク

技 GOOD SKILL

事例

01

2019

箪笥(たんす)の和服に新たな命を与えるリメイク婦人服

  • 和服をリメイクした婦人服

    和服をリメイクした婦人服

  • 和服をリメイクした婦人服

    和服をリメイクした婦人服

平成30年度 認定 婦人服

モード・由記

木村きむら 由記子ゆきこさん

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平成5年に「モード・由記」を創業。
平成25年度ものづくりマイスター、平成21年度全技連マイスター、平成28年度八戸市文化賞、平成30年度青森県褒賞、平成4年度「技能グランプリ(婦人服製作職種)」銅賞、平成22年度「全日本洋裁技能コンクール」東京都知事賞

「生地の声」とお客様の声をもとにつくる婦人服

モード・由記では、オーダーメイドの婦人子供服を製造しています。特に力を入れているのが、振袖や打掛などの和服をリメイクしたドレスや、コート、ブラウス、ワンピースなどの製造です。リメイク品の製造は、お客様が和服を持ち込まれるところから始まります。その多くは箪笥(たんす)で眠っていたものであり、「この美しい和服に日の目を見せてあげたい」という想いで取り組んでいます。

大切なのは「生地の声」を聴くこと。生地をじっくりと見て、どのようなデザインにすれば最も輝くのか、アイデアを練っていくのです。生地の良さを引き出すために、鳥の柄を活かそうと考えたときは、数ミリほどのくちばしの刺繍が綺麗に合わさるよう、非常に細かな調整を行いました。同じ和服といっても生地や柄などは多種多様ですから、お客様の声をしっかりと受け止めることも欠かせません。気軽にパーティーなどへ着て行きたいというお客様には、和服の生地によくある家紋を隠してはどうですかと提案することもあります。何度もやり取りを行い、お客様の理想に少しでも近づけるように努力しています。

この仕事で何よりの喜びは、私がつくった服を実際にお客様に着ていただくことです。ちょうど今、リメイク品の洋服をつくっているのですが、結婚披露宴に着て行かれる予定とのことで、その日が楽しみです。

微妙な手加減でフィットさせる縫いの技

リメイク品の製造工程は、和服をほどくところから始まります。続いて地直しで布のゆがみを取ります。そして柄合わせを行い服全体の柄の配置を考えます。柄が決まれば生地を裁断し、仮縫いを経て本縫いへと進みます。

本縫いにはミシンを使いますが、布を押さえたり、伸ばしたり、縮めたりといった縫い手の微妙な手加減によって、出来上がりは全く違ってしまいます。それはやはり経験を積み重ねて、感覚で覚えるしかないのだと思います。例えば、襟が合わない服を着ただけで、人間は肩や首が疲れてしまうものです。体に負担をかけることなく快適に着られる優しい服にしたいので、採寸などを通じて把握したお客様の体型を常に頭に入れながら、フィットさせることを心がけています。

現在、私は後進の育成にも取り組んでいます。技能検定1級の取得などを目標に洋裁の初歩から指導していますが、やがて教え子たちが一人前になり、今度は指導者として洋裁やオーダーメイドの楽しさや魅力を発信してもらえたらうれしいですね。

クチバシ等、細かな柄を合わせていく

こだわりのハサミ

リメイクで扱うのは、お客様の思い出の詰まったかけがえのない生地。そのため、木村さんは裁断に使うハサミにこだわりがあるといいます。

少し落としただけでも切れが悪くなるため、常に予備のハサミを用意。また、他県まで行き、信頼する刃研職人に研いでもらっています。愛用のハサミを手に、木村さんは今日も「大胆かつ繊細に!」に生地を裁断しています。

技能検定

婦人子供服製造(婦人子供注文服製作作業)

婦人子供服製造(婦人子供注文服製作作業)は、婦人子供注文服を製造するために必要な技能・知識を対象としています。婦人子供服製造にはその他、婦人子供既製服パターンメーキング作業、婦人子供既製服縫製作業の2作業があります。

木村由記子/モード・由記

〒039-1161 青森県八戸市大字河原木字高館前 29-5
TEL 0178-20-2514