豊富な知識に基づいた指導が、
受講者の技能への興味や向上心を引き出す
技能向上の近道は技能に触れ続けることだ
小林マイスターの今回の指導は既に現場で働いている方への指導でしたが、どのようなことを重視して指導しましたか。また受講された社員の方は改めて基礎的な内容について学んだ感想を教えてください。
小林 私はこれまで技能者として、どうすれば勤めている会社で早く認めてもらえるか、ということを考え続けていました。その結果、業務の効率化と資格取得を目指すことがその答えではないかと考え、実際にこれまで多くの資格を取得してきました。これが私の1つの長所ではないかと考えています。そのため蓄積してきた知識をもとに、機械加工について多角的な視点から正確に伝えることをまず念頭に置き、指導にあたりました。同時に、技能を向上させるためにはその技能に触れ続けていなければならないとも考え、技能についての興味がわき向上心を自ら持っていただけるような指導を心がけました。
近藤 機械加工の基礎については、これまでも会社の先輩方の仕事を見ることによって、ある程度は理解していました。今回、小林マイスターの指導を受けたことで、「ある程度」の理解がすべて「十全な」理解に転化したと感じています。この十全な理解を得ることができたのは、小林マイスターが指導のない日でも、分からないことが出てくるたびに、電話や無料メッセージアプリですぐに教えてくださったからではないかと考えています。機械加工の全体を理解することは、次の工程を予測できることにも繋がり、今までよりも業務がスムーズに進むようになったと感じています。
指導での積極的なコミュニケーションが、機械加工の深い理解と技能習得を可能にする
小林マイスターの今回のプログラムでは具体的にどのようなことを指導されましたか。また、受講者の方はそれらを通してどのようなことを感じたか教えてください。
小林 今回の指導プログラムを考えるにあたって、基礎的な指導を念頭には置いたものの、既に現場で働いている方が受講者であるということを意識し、技能検定1級レベルの課題を題材に、繰り返し実技を練習するように指示しました。繰り返すことによって、それぞれの人がどこでミスしやすいのか、といったことが明らかとなるからです。また、受講者の弱点を炙り出して対処するとともに、受講者の方が自信を持つことも重要だと考えました。指導の時間が短かったため、指導内容がより伝わるようにコミュニケーションも積極的にとるようにしました。受講者が私に対して心理的な距離を感じていると、伝わるはずのことが伝わらなくなってしまう、ということが起こりかねません。そのため自分から声をかけることや、指導以外の時間でも質問を受け付けるなどの工夫を行いました。
近藤 これまでは機械任せだったプログラミングコードを自身の手で作ったことは、とても貴重な体験だったと思います。普段の業務では機械に組み込まれた既存のプログラムに数値だけを打ち込むことで加工を行っていましたが、今回の受講では一からプログラム製作も行いました。このことを通して、機械加工への理解が一段と深まったのではないかと感じています。また小林マイスターはとても気さくな方で、良い意味で気を遣わず、疑問に感じた点などをすぐに質問することができました。プログラムを組みながら疑問点を一つひとつ解決できたことで、工程全体や段取りについてまで理解が及ぶようになりました。このことは現在業務を行う上で大変役に立っています。
指導者としての向上心が受講者の技能向上、後輩への技能継承にも繋がる
小林マイスターがマイスターとしての活動を行う中で大事にしていること、今後の展望などを教えてください。また受講者の方は今回指導を受けてみて、今後の展望など考えたことがあれば、教えてください。
小林 マイスターとして指導をするようになった以上、その私が怪我をするようなことだけはあってはなりません。我々の技能は何よりも安全が第一であり、安全を実現できない者が指導を行うことはおこがましいことであると考えているからです。私は今後も後輩たちが成長するのを指導者として見ていたいと思っています。そのため、この技能の土台としての安全を徹底しつつ、何か質問をされたときに「分からない」と答えるのではなく調べてから伝えるなど、常に向上心を持ち続けたいです。
近藤 小林マイスターの指導を受ける中で、技能について深く学べたことはもちろんですが、小林マイスターの常に挑戦し続ける姿勢・プロ意識に感動しました。これまで弊社では「見て覚える」というやり方だった技能の基礎指導について、この実技指導を受けたとおり私が小林マイスターのようにしっかりと教える立場に置かれたのではないかと感じています。今後は後輩へ技能を継承していくことも考えながら、自身の技能向上に努めていきたいです。その実現のためにも小林マイスターのように、常に高い向上心を持ち続けたいと思います。
東京通信機材株式会社
白河工場 製造2課
近藤
幸志
さん