徹底した基礎と品質へのこだわりが
受講者の新たなチャレンジを生み出す
高い精度と品質を生み出す、基礎を重視した指導
今回のプログラムでは、社員の皆さんが担当している製造ライン以外の業務にも対応できるようになることが1つの目的だと伺っています。その実現のために、どのような指導を行いましたか。また、山添さんは受講をしていかがでしたか。
小澤 ものづくりにおいては「基礎技能の鍛え方」と「製品の品質管理」が何よりも重要です。電子機器組立て作業で行うようなはんだ付けでは、製造ラインにかかわらず、共通して0.5ミリクラス以上の高い精度が求められます。とても細かく難しい技能であるため、指導の際にはプロジェクターを利用して、実際の映像を受講者の方々に見せながら指導を行いました。このことは自身の製造ラインとは異なる業務を知ることにも役立ったのではないでしょうか。また座学による指導を行った後は実際の作業に取り組んでもらい、「自分が教える立場になったらどのように教えるか」ということを考えてもらいながら良い製品を作るために不可欠な基礎構築を目指しました。
山添 私は主に基板修正業務や外観検査機OP業務、動作検査業務というものを行っています。これまでもそれらの業務を通じてはんだ付けを行っていましたが、小澤マイスターの厳しくも優しい指導を通して、改めて基本の技能や、その先にある製品の質をどう高めるかということまでも学ぶことができました。小澤マイスターの指導はとても丁寧で、細かなことについても教えていただけたため、受講後にはこれまでよりもスムーズに組立ての作業が行えるようになったと感じています。
技能に加え仕事の基礎の徹底が、品質の向上をもたらす
小澤マイスターが指導にあたって、特に大切にしていたことを教えてください。また山添さんが受講者として、特に印象に残っていることはどのようなことでしょうか。
小澤 受講者たちには「自分が作ったものを買いたいと思いますか」ということを何度も質問しました。お客様が質の高いものを求めることは当然のことですが、会社に勤めていると、ある程度の質で製造を行っていれば給料をもらうことができるわけです。本来であれば質の高さを追求することは製造に関わる者の責務だと考えていますので、これを伝えることを何よりも重視しました。具体的な指導としては、スマートフォンにも使用されているような身近な機器の製作を行いました。ものづくりの基本である「基礎と品質」の向上を目指し、図面の読み方や図面から実際の業務に繋げるための能力を鍛えました。ほとんどの社員にとって身近な電子機器を作ったことで、製品品質の重要性を自分のこととして実感してもらえたと思います。
山添 受講前は漠然と、テクニックを習う講義であると考えていました。しかし、実際にははんだ付けに関する小手先の技能ではなく、図面からどのようにして効率的な段取りを行うかなど、より仕事の質に関わる技能を指導していただけました。特に印象に残っていることは「5S」についてです。これは「整理」「整頓」「清潔」「清掃」「しつけ」という5つの言葉の頭文字から来ている言葉で、この5つのどれか1つでも疎かにしていると、業務が非効率的になってしまうということです。それを実際に体感できたのは、道具や材料の配置によって組立てが速くなったときです。小澤マイスターの指導に基づいた配置で組立てを行うと、格段に早く組立てを行うことができました。早く作業ができるようになったことで、これまでよりもコスト削減や品質管理の徹底をすることに注意を払えるようになりました。
学びを共有し、会社の技能を底上げする
電子機器組立て分野の今後についてや自分自身の将来について、今回の実技指導を通して考えたことを教えてください。
小澤 プリント基板の試作は、機械ではなく、必ず人の手で行われます。大手企業ではこの試作段階のはんだ付けができる人材を抱えている企業は少なく、それができることを強みとしている企業も増えてきました。設備機械による自動化は今後、電子機器組立ての分野でも進んでいくと思います。しかし、人の手によるはんだ付けの重要性は変わらずあり続けると考えています。そのようなことを考えた時、はんだ付けという技能を持つこと、電子機器組立てを自分の手で行えるということは、大きな長所になるのではないでしょうか。受講者の方々が今回のプログラムで学んだことを存分に活かしてくれることを期待しています。
山添 受講を通して自身の担当工程以外の全体の製造の流れを知ることができました。また自身の技量が上がったことで、これまでは対応できなかった新たな業務に挑戦できるようになったとも感じています。しかし、素早く高い品質の製品を作るまでにはまだまだ至っていません。そのため今後も作業効率と精度の向上を目指すとともに、学んだことをチーム全体で共有し、会社全体での技能の底上げを図りたいと考えています。
有限会社二色電子
LED調光製造ライン
山添
麻里
さん