機械検査に必要な各種測定器の使い方や検査法など
基礎から学び本物の技能を習得する
受講者のニーズを把握し、プログラムを組み立てる
滋賀バルブ協同組合会員の複数企業から受講者が集まるため、プログラムを組むのは大変だったと思いますが、どのようにして組み立てたのでしょうか。また、受講者の方は今回参加したきっかけを教えてください。
北川 私は、実技指導を行う前に受講者が「何を学びたいか」確認を行うようにしています。特に、滋賀バルブ協同組合が、対象となる企業に対して「何を教えて欲しいのか」を問うアンケートを事前に実施されており、その結果を踏まえたうえでプログラム内容を考えて指導しています。加えて、バルブ製造の精度に関することや品質管理、製品検査など、技術革新の進展に伴って、時代ごとに変わるニーズに対して常にアンテナを立てることを大切にしています。
山口 私は、滋賀県彦根市にある昭和バルブ製作所の製造課で機械加工を担当しています。主にNC旋盤やマシニングセンタという機械を使い、高い精度が求められる部品の加工を行っています。今回、北川マイスターの実技指導に参加したのは、普段の業務では学べない高度な知識や技能を学び、さらに精度の高いバルブ製造に繋げたいと考えたからです。
受講者の向上心を育む指導者の姿勢
実技指導を開始する際、受講者の方たちに伝えたことや配慮したことなどはありましたか。また、指導中のこだわりや大切にしていたこと、受講者の方は指導を受けた感想について教えてください。
北川 基本的な知識や技能が身に付いていない受講者が多いため、指導を行う前に必ず目的と指導カリキュラムを伝えるようにしました。そして具体的な指導内容を示し、他にも習得したい技能があるかをヒアリングしました。その際に、他の受講者にも確認をしたうえで全員の意見が一致することを大切にしました。また、私がものづくりの指導を行う際に大事にしていることは、山本五十六語録「やってみせ 言って聞かせてさせてみて ほめてやらねば人は動かじ」という教える側の姿勢です。これまで培ってきた技能を披露し、現場でどのように役立つのかを明確にお伝えしています。そこからさらに興味をもっていただき、参加することへの向上心を育むことを意識しました。
山口 北川マイスターの指導は、各種測定器や検査機器を使用した実技に加えて、映像を使って現場の作業シーンを細かく解説してくださったため、とても理解しやすい内容でした。中でも、普段の業務でよく使用するノギスという測定器は、先輩たちが使っているところを見よう見まねで覚えていたため、正しい使用方法を知って衝撃を受けました。改めてノギスの原理を一から教えていただき、測定の精度が向上したことで正確な測定が出来るようになったことは、私にとって大きな収穫です。
機械検査の基本を徹底し、自ら考えて動く「考動力」を磨く
今回の実技指導では、様々な「基本」をベースに指導されたと思いますが、特に注力した内容は何ですか。また、受講者の方は今後の抱負をお聞かせください。
北川 機械検査や測定作業などはすべて、「安全」のもとに行われることが大前提ですので、常に安全を基本に指導しています。ものづくりに関わる仕事全般にいえることですが、事故や怪我をしてしまえば、すべて無駄になってしまうからです。安全をベースに、各種測定器や検査機器の正しい構造や取り扱い方法を理解することで、知識と技能が今まで以上に磨かれます。これからも実技指導を通じて、自ら「考えて」そして明確な意志と目的に基づいて「動く」という「考動」を実践する若手技能者を増やしていけたらと考えています。
山口 今までは、機械加工の際にノギスを使用して寸法を調整しながら、心のどこかで本当に数値が合っているのか不安を感じることもありました。しかし、今回北川マイスターにご指導いただき、測定器の原理や正しい使用方法を知ることができ、自分が出した測定結果に自信を持つことができました。これからも、機械検査のプログラムで学んだことを活かし、職場の後輩たちにも技能を継承していきたいと考えています。
株式会社昭和バルブ製作所
製造課
山口
博矢
さん