建築大工

指導先:北海道名寄産業高等学校(北海道)

ものづくりマイスター:長南 信洋さん

北海道名寄産業高等学校

将来の道北地域の産業を支える人材の育成を担う高校として平成21年に開校しました。酪農科学科、生活文化科、機械・建築システム科(令和2年度より電子機械科と建築システム科が学科統合)で構成されており、「自ら学び考え、自立の精神にあふれる人を育てる。」「誠実で思いやりのある、心豊かな人を育てる。」「生き生きとたくましく、互いに切磋琢磨する人を育てる。」という3つの教育目標を掲げています。

実技指導を依頼した背景

建築分野の魅力や面白さをより深く生徒たちに伝えたい

「ものづくりマイスター等事業」を活用した背景として、生徒たちに建築分野の技能の魅力と面白さを十分に伝えきれていないという課題がありました。それには、学校の授業だけではなく、現場での豊富な経験と社会で通用する技能をもった外部講師による実践的な指導が必要であると思いました。また、本校の生徒たちは卒業後の進路として、進学よりも就職を選ぶケースが多いということがあります。ものづくりマイスターのプロフェッショナルな技能に触れ、指導を受けることは、生徒たちに学校生活で培った知識や技能がどのように社会で役立っているのかを具体的にイメージさせ、効果的な進路の選択ができるのではないかと考えました。

実技指導を受けたことによる効果

熟練の技に触れることで生徒たちの向上心を育む

長南マイスターの実技指導は、いつも楽しいトークを交えながら建築大工の作業を基礎からひと通りご指導いただきました。特に、道具の使い方や調整の仕方から、メンテナンス方法に至るまで、細部にわたりしっかりと教えていただき道具の大切さも理解することができました。実技指導を受講して学んだことを活かして、夏休みに棚を作ったりするDIYに取り組むなど、自らものづくりを楽しむ生徒も増えてきました。また、長南マイスターの熟練の技に憧れをもち、建築大工への就職を決心した生徒もいます。

北海道名寄産業高等学校
機械・建築システム科
指導実習助手

大島 おおしま 一展 かずのり さん

親しみやすい雰囲気の中で、
建築大工のベースとなる道具の使い方から教える

昔ながらの手工具を使った基礎指導

学校の授業では教えることが難しい実技指導をスタートするにあたり、まずどのようなことを重視されましたか。生徒の方は今回、受講することになったきっかけや受講されて感じたことを教えてください。

長南 私が生徒たちに実技指導を行う上で大切にしていることは、道具の使用方法をしっかりと理解してもらうことです。主に使用する道具は、昔ながらの手工具で、鉋(かんな)や鑿(のみ)、鋸(のこぎり)などです。これらの一般的な建築道具の使用方法を学ぶことは、建築大工のベースを作るといっても過言ではないと考えています。

渡辺 私は、以前からものづくりが好きで、入学してから3年間、建築クラブに所属していました。その中で以前、長南マイスターの実技指導を受講する機会があり、マイスターの建築大工に関する話がとても面白く、今回も実技指導を行っていただけると伺い満を持して受講しました。長南マイスターに建築道具の使い方や手入れの仕方なども教えていただいたことで、建築大工に必須である道具への理解が深まり、大工の仕事への関心もさらに高まりました。

実技指導では、安全面を徹底するよう意識付け

実技指導の中で長南マイスターが特に注力したポイントはどこですか。そして、渡辺さんは受講して何を得られましたか。

長南 実技指導のプログラムで、私が特に力を入れたことは「安全対策」です。建築大工は、木材加工に刃物を使うため、常に危険と隣り合わせです。生徒たちにも、危険な道具を扱うことの心構えを持っていただき、安全に配慮した怪我のない作業を行うことの重要性をことあるごとに指導しました。また、特殊な道具を使うよりも、学校内にある道具を使うことを優先し、受講後でも生徒たちが自主練習できるよう考慮しました。

渡辺 長南マイスターは、真剣な中にも、時々ユーモアを交えて私たちを楽しませてくださるなど、コミュニケーションをとりやすいように配慮くださいました。また、休憩時間にも私たち生徒の輪に入って、現場で起こった出来事など興味深い話をしてくださり、楽しく講義を受けることができました。楽しい中でも、大切な墨の書き方や鑿など道具の扱い方について、マイスターから他では教わることのない高い技能を学ぶことができました。

建築大工の技能は、人生と共に育むことができる

実技指導では生徒たちに、建築大工の魅力についてどのように伝えましたか。また渡辺さんは、将来についてどのように考えているかを教えてください。

長南 建築大工の魅力は、技能習得を広げていけば多能工になることができ、定年がないことではないでしょうか。いつまで現役で働くかを自分で決められるため、技能を身に付けることで「一生食べていける職業」であることを生徒たちに話してきました。また、実技指導の休憩時間にも生徒たちの意見を聞き、そこで出てきたアイデアを指導の中にも取り入れました。このように信頼関係を築く上でのコミュニケーションの大切さを生徒たちが感じ取れるようにしました。

渡辺 長南マイスターに教えていただいた道具の使い方やものづくりの基礎を大切にしながら、これからも練習を重ねていきたいと思います。将来は、地元の下川町で建築大工の仕事に就いて、これまで支えていただいた先生や、応援してくれた両親のためにも頑張っていきたいです。

北海道名寄産業高等学校
建築システム科3年

渡辺 わたなべ かける さん

ものづくりマイスター
長南 ちょうなん 信洋 のぶひろ さん

平成25年度 厚生労働省「ものづくりマイスター(建築大工職種)」認定

技能指導の実績
企業・団体及び学校向けの建築大工職種の実技指導

建築大工は木造大工や宮大工など、様々な種類がありますが、長南マイスターは一般住宅の大工です。これまで培ってきた技能を若手の大工に伝え育てたいという思いを持ち、業界の組合などから推薦を受けたことを機に、ものづくりマイスターの認定を受けました。
プログラム内容
実施課題 建築大工
目  的 建築大工の技能検定課題などを活用した実技指導
受講対象 建築システム科 13名(1年生4名、2年生7名、3年生2名)
  • 第1回
  • 大工作業(基礎) 道具の調整、使用方法等
  • 第2回
  • 大工作業(基本) 墨付け、刻み等
  • 第3回
  • 課題製作(応用)①
  • 第4回
  • 課題製作(応用)②
北海道名寄産業高等学校

光凌キャンパス 〒096-0035 北海道名寄市西5条北5丁目1番地
名農キャンパス 〒096-0063 北海道名寄市字緑丘3番地3

設 立 年 平成21(2009)年
学 校 長 坂野裕悦
学  科 酪農科学科、生活文化科、
機械・建築システム科(令和2年より)
在校生数 229名(令和2年5月1日現在)