グッドスキルマーク

技 GOOD SKILL

事例

10

2019

デザイン性と耐久性を両立させた婚約・結婚指輪

  • フローリア(Fleurir)

    フローリア(Fleurir)

平成30年度 認定 宝飾品

カンダエステム
株式会社

倉田くらた 信二しんじさん

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平成8年、菅田株式会社入社。平成29年、カンダエステム株式会社取締役就任。
平成25年度貴金属装身具製作(貴金属装身具製作作業)1級技能検定に合格。平成26年度貴金属・宝石科職業訓練指導員、同年度ものづくりマイスター、平成28年度岡山県優秀技能者

扱いの難しい半貴石を使った親型づくりの技能

グッドスキルマークを取得したのは、私がデザインした自社ブランドの婚約・結婚指輪「フローリア(Fleurir)」シリーズです。

このシリーズは、12個の誕生石からカップルが好きなものを選び、それぞれの指輪の内側に2つずつはめ込むことができます。2人の人生が花開く瞬間を、お互いが選んだ指輪で彩れるようなデザインになっているのです。そんな思いを込めて、開花という意味を持つ「フルリール(fleurir)」というフランス語をもとに、「フローリア」と名付けました。

誕生石として使用するのは、小型の貴石(ルビーなど)と半貴石(アメジストなど)です。半貴石はかたちがバラバラな上に割れやすく、扱いが難しい素材です。それを指輪の内側に、しかも2つ入れるためには、非常に繊細な作業が要求されます。

モデルごとに製造方法を変えており、幅の狭いリングには強度を出すのに優れた鍛造を、幅に余裕のあるものにはデザインの自由度が高い鋳造を採用するといった工夫をしています。

誕生石を2つ入れるためには、リング自体の強度も確保しなければいけません。幅2mmという石を入れるギリギリの細さのものには厚みを持たせることで補強するなどの工夫をしています。

小さな半貴石は年々価格が上昇傾向していますが、これからも高品質のものを確保して加工職人の皆さんと一体となり、お客様の笑顔が花開くような製品を作り続けたいですね。

早い段階で採算性の予測を可能にしたCADの導入

婚約・結婚指輪は“一生もの”の、大事な記念の品です。指輪を最終チェックする際には、宝石にある傷の有無や、振動で石が動かないかなど、専用の器具や機械を使って、丹念にチェックします。少しでも気になる点があれば、お客様の想いに応えられるように、完璧になるまで何度でも調整します。

親型の製造工程にも工夫があります。従来、指輪の親型は紙の図面をもとに手作業でつくっていたのですが、そこにデザインソフトのCADを導入しました。これは画期的なことだと自負しています。CADは指輪の立体画像をもとに緻密なシミュレーションができるため、従来出来上がるまで分からなかったデザイン性や耐久性をパソコン上で徹底的に追及できるようになりました。それによって失敗による手戻りが減った他、CADでは材質の重量なども分かるので事前に製品の採算性まで判断できるようになりました。

これからも、技能を大切に守りながら、新しいテクノロジーを取り入れたものづくりができる職人でいたいと思います。

こだわりのサンプル

宝飾店の店頭に必ず並ぶ商品サンプル。本物の材料を使用し、売ることもできないため、お店の大きな負担になっているといいます。それを、お店で修理も行う倉田さんは小売業者の視点で改革。商品サンプルに本物(プラチナ/ダイヤモンド)とそっくりの代替品を使用することで、コストを大幅に削減しました。

技能検定

貴金属装身具製作(貴金属装身具製作作業)

貴金属装身具製作(貴金属装身具製作作業)は、貴金属装身具の製作に必要な技能・知識を対象としています。糸のこ、やすりがけ、ろう付け、研磨などの貴金属装身具の細工・仕上げ、石留めに関する技能・知識を対象にしています。

倉田信二/Jewelry KANDA本店内(カンダエステム株式会社)

〒708-0841 岡山県津山市川崎1902-3
TEL 0868-25-1231

HP(菅田株式会社) http://www.jkanda.co.jp/