Vol.22 清掃は家族の健康と衛生的な環境を保つこと 快適な生活を支える基本的な技術

 白木 博之さん

ハウスクリーニング技能士 単一等級

(平成26年度度取得)

白木 博之さん

1965年生まれ

美創企画

ハウスクリーニング技能士とは

 住居を清潔に保ち、快適で衛生的な生活環境を提供することを目的とするハウスクリーニングは、ご家族の健康的な生活を支えるものです。
 基本は居住空間の清掃ですが、そこにある汚れはホコリやシミ、キッチンには油汚れ、水回りには水垢、カビなど様々なものがあり、それぞれの汚れと、付着している素材に対応した適切なクリーニング方法が必要です。
 お客様の財産でもある住居内の様々な設備を元の美しい状態に近づけるための知識と技術・技能を評価したのがハウスクリーニング技能士です。

白木 博之さんのお仕事

 ハウスクリーニングは一般のご家庭に出向いての清掃作業です。あらかじめ作業箇所の打ち合わせをしますが、付着している汚れの程度や材質などは現場での確認になります。臨機応変な対応が求められるため、多くの清掃用具を準備します。
 汚れを落とすのは機器を使う場合もありますが大半は手作業です。汚れを効率よく落とすために、洗剤など最適な資機材の準備が要で、経験と知識が問われます。

ハウスクリーニングのお仕事に興味をもったきっかけを教えてください。

写真:白木 博之

 初めはビルメンテナンスの仕事をしておりました。そこで清掃のノウハウを学び、清掃後の爽快感や衛生環境を担う喜びも感じていました。ビル清掃はチームで組み、床、窓などをそれぞれ分担した作業を基本としていました。
 そのうち自宅の汚れが気になりだし、時間があると自宅をよく清掃していました。自分にはビル清掃より、一人でいろいろな汚れに立ち向かう清掃の方が性に合っていると感じ始め、居住空間全般に関わる清掃のハウスクリーニングがある、と気づき独立をしました。

技能士資格の取得までの経緯を教えてください。

 独立したものの仕事先は個人のご家庭です。お客様の獲得に苦労しました。そこで不動産店に営業に回り、退居後の清掃から始めました。少しずつ仕事が入るようになり、結果に満足していただいたオーナー様のご自宅の清掃もやってほしいと注文が増えていき、私が望んでいた仕事のスタイルに近づいていきました。
 仕事が順調になった頃、懇意にしている資機材の仕入れ先から、ハウスクリーニング協会でいろいろな清掃技術や洗剤の知識が学べる技術研修会を開催していることを聞き、自身の技能向上のために研修会を受講しました。そこでこれからは技能と知識の裏付けを持った清掃の必要性を感じました。何度も研修会に参加するうちに国家資格のハウスクリーニング技能士があることを知り、すぐ受検申請をして2度目のチャレンジで合格しました。

技能士の資格を取得して良かったと思うことを教えてください。

写真:白木 博之

 お客様は清潔さと美しさを取り戻したことで、作業後に打ち解け、話をしていただけるようになり、雑談ができるようになります。
 お客様と話をする中で、技能士の話をする時もあり「なるほど」と清掃の奥深さを知って納得していただけます。技能士を前面に出すことはありませんが、私の中に、国家資格の取得者であることが良い結果につながっているように感じます。私たちの仕事は、清潔さと美しさを取り戻すことが大事であると技能士試験が教えてくれたような気がします。
 また、同じ技能士との情報交換を行うことができるなど、仲間としての交流が生まれたことは嬉しいことです。

仕事のやりがい、面白さについて教えてください。

写真:白木 博之

 なんといっても爽快感です。お客様も自分が落とせなかった汚れがキレイになると爽快感を感じるようで「わぁ」と目が輝きます。
 汚れは、少しずつ蓄積していき気がついたときには頑固な汚れとなり、普通の清掃では落ちなくなっています。手に負えなくなり私たちに依頼が来たときには「さあ、やるぞ」という気持ちになります。本来の輝きを取り戻せたときの達成感は、何ものにも変え難い喜びです。

仕事で苦労したこと、気をつけていることなどがあればお教えください。

写真:白木 博之

 私たちの仕事は多くの洗剤を使います。洗剤は、間違った使い方をすると素材を痛めるなど逆効果になります。汚れが落ち、キレイになればいいというだけでは済まないのがハウスクリーニングです。素材は何か、汚れの種類は何かを見極め汚れの種類に対して適切な洗剤を選択し、いかに素材をキズ付けずに汚れを落とすかが問われる仕事です。
 例えば浴槽では、汚れを落とすために強い洗剤を使い、力を入れて擦れば汚れは落ちますがキズができ、今度は汚れが付きやすくなります。一番重要なのは、キズ付けることなく表面の汚れを取り除くことです。そして、お客様がくつろぐご家庭での作業ですから、時間をかけずに作業を終わらすよう時間配分にも気を使います。

仕事で心掛けていることをお教えください。

写真:白木 博之

 訪問前に作業箇所などの確認を行いますが、同時にご家族のアレルギーの有無など健康状態の事前調査を行います。薬剤である洗剤の残臭にアレルギー反応を起こす方もいらっしゃいますので、洗剤の選定と作業後に徹底した洗浄を行い洗剤が残留しないように注意しています。また換気を十分に行い残臭の除去にも気を使います。小さなお子様がおられるご家庭では舐めたりしますので特に注意が必要で、仕上げを徹底しています。
 最大の洗浄効果を上げるために、作業過程をイメージしています。使用する効果的な道具を選ぶことと作業手順を頭の中で確認して極力短い時間で終了するように心がけています。

いま、白木さんが取り組んでいることをお教えください。

写真:白木 博之

 ハウスクリーニングは一般に知られてきていますが、実際に自宅の清掃を他の人に頼むにはハードルがあるようです。
 もっと身近に、気楽に頼めるようにするのには何をしたらいいのかを考えています。最近は一般家庭でも環境衛生意識が高まり、住居内を清潔に保つための情報を求めています。実際に様々な汚れを落としてきた経験を元に、住居を清潔に保つ清掃のポイントをSNSなどで広く伝え、ハウスクリーニングを身近に感じていただけたらと思っています。

ハウスクリーニングの仕事を目指す人たちにメッセージをお願いします。

 住居の中には多種多様な汚れが存在しています。その汚れの種類を見極め、美しさを取り戻すために何種類もの洗剤があり道具があります。どの資機材を使い、どのような工程を踏めば汚れを落とすことができるかと最終仕上げまでをイメージできるかが勝負です。
 私たちの仕事の対象は、お客様の大切な住まいです。基本は手を抜かず、気持ちを込めて清掃すること、キズを付けない、壊さないことです。隅の小さな汚れも見逃さない観察力も必要です。これらの基本を踏まえて作業を完結することでお客様の満足を得ることができ、自信につながります。
 私は独立当初から自宅や知り合いの家で、いろいろな洗剤・資機材を使い試行錯誤をして、多様な汚れを除去できる技能を習得してきました。これからも新しい洗剤・資機材・素材を研究し、現場で多様な汚れにも対応できるよう努めていきます。

プロの道具~ハウスクリーニング技能士編

 

道具の紹介

道具の紹介

 ゴム手袋は必須です。指先の感覚がわかるように手に合ったものを選びます。
 ドライバーやブラシ、ウエスタオル、スクレーパーは各サイズを取り揃え、すぐ取り出せるように工具ホルダーにセットしています。
 洗浄用のスポンジやパッド、ウエスタオルは用途に応じて色分けし、何十枚と用意しています。

白木 博之さんのある日のスケジュール

8:00
始業
現場の作業内容を確認、器具の点検
9:30
現場に到着
作業開始
12:00
作業終了
昼食、休憩
13:30
第2現場に到着 作業開始
16:00
作業終了
17:00
帰社
資機材の清掃および翌日の現場作業の準備
18:00
連絡事項、メール等の確認 報告書の作成など事務作業
終了次第帰宅

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