現代の名工Navi
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紳士服仕立職
廣江 満男(ひろえ みつお)
89歳
就業地: 大阪府

受賞年度
2023年
所属
シマネヤ洋服店
プロフィール
妻の祖父が明治35年に創業した注文紳土服店を継ぎ3代目にあたります。関西学院大学法学部を卒業し、大阪製鎖造機(株)の営業として11年間勤務した後に35歳で脱サラし、全くの素人でこの業界に入った。技能者団体である大阪洋服同志会(現会員数228名)に入会し、当時名工であった2人の先輩方の技術指導を受け、9年後には同志会の会長を務める事となり、技能を伸ばす原動力となった。
※年齢・所属はいずれも表彰時のものです。
技能の紹介
オーダースーツ製作では、生地を裁断するための型紙は職人の経験と勘で作成していたが、三平方の定理を応用し数値化された採寸を実現した。また、仮縫い時、シワを修正する際にも数学を用いた方法を確立した。このことにより型紙を用いず直接生地を裁断することができ、加えて作業時間が従来の3分の1に短縮され、生産性向上が図られた。講習会では講師として若手技術者延べ80名超に様々な洋服製作技術を指導するとともに、コロナ禍ではライブ配信で講習を行い後進指導に努めた。

仕事に対する思い
昔から絵を描いたり字を書くことが好きで細かい作業も得意でした。紳士服製作を始めてからは、ものづくりを本職にすることに大きな喜びを感じるようになりました。技能職のスタートは遅かったですが、大変優れた諸先輩方にも恵まれ、何よりも良い物を造る喜びが一番の励みとなりました。また、お客様の注文通りの服が出来上がり、お客様に喜んでもらえた時の満足感と達成感は、何事にも変え難い幸せな瞬間であると思っております。

名工からのメッセージ
私のモットーは何をするにも自分の能力の出し惜しみをしないということです。特に自分に与えられた仕事は常に全力を出し真摯に取り組む姿勢が大事です。また、解からないことがあれば遠慮せずに先輩の教えを乞い、いつも挑戦する気概を持つことも大事だと思います。そして仕事を達成した時の喜びがいかに大きいかを感じることが何よりも大切であり、その積み重ねがやがては自己の技能向上へと繋がるので諦めず前進してください。
この技能を学ぶために役立つ訓練機関や習得法など
1. 自分の属する技術集団の仲間と仲良く活動しそのリーダーに教えを受ける。
2. 業界の技能講習会等には積極的に参加する。
3. コンクール等にも出来るだけ参加する。
4. 常に技能習得を心掛ける気持ちを持ち続けること。
5. 技能習得には終点はないと心得えること。
これまでの主な表彰歴
〈知事・行政機関の局長表彰等〉
・大阪府知事賞 大阪府の洋服業界の振興と産業の発展に尽力(平成15年11月)
・大阪府優秀技能者表彰 技能顕功賞 なにわの名工(平成7年11月)
〈その他〉
・西尾賞 全日本の洋服技能士の技術向上並びに後継者育成に貢献した事に対する表彰(平成13年9月)
・大阪市長表彰 大阪市中小企業の技能向上への功績 技能功労賞 町の名工(平成6年11月)
・大阪府職業能力開発協会会長賞 第25回全日本紳士服技術コンクール大会高位入賞(昭和58年10月)
・四国洋服同志会会長賞京阪神四国連合技術協議会主催ビスポークライン製図コンテスト大会高位入賞(昭和55年6月)