現代の名工Navi
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造園師
小河 正行(おがわ まさゆき)
68歳
就業地: 京都府

受賞年度
2023年
所属
植熊
プロフィール
岐阜県出身。京都の製材所で働きつつも大工を目指して建築学校に通った。その後は大宰府の寺で1年修行することになり、植木の手入れ等をする中で庭師に興味を持つ。お寺の紹介でその庭を造ったのが京都の「植熊」だと知り、意を決してその門をくぐった。「植熊」は代々裏千家の茶庭を手がける名高い老舗で、先代の教えを守り、多くの露地(茶庭)造りを手がけている。私は「植熊」の5代目親方として引き継ぎ、今に至る。
※年齢・所属はいずれも表彰時のものです。
技能の紹介
京都造園界のみならず、国内外において茶庭(露地)の作庭に関して第一人者と評される造園師である。茶道裏千家御用達の庭師でもある「植熊」の五代目当主として長年、作庭や手入れの実績がある。伝統や規矩を忠実に守りつつ、施主の好みや感性も尊重し機能的な作庭が出来るところが第一人者たる所以である。また、技能研修会、講演・講義、出版物等を通じて、作庭技能の後進への継承とともに、茶庭の魅力や伝統美を発信している。

仕事に対する思い
お茶の世界はもちろん、造園についてもほとんど知らずに飛び込んだので、はじめは業界の言葉に慣れるのに苦労しました。露地というのは普通の庭と違い、四季を感じさせたり香りの強い庭木を植えたりすると、花を活けたり香を焚いたりするお茶席を台無しにしてしまいます。また、お茶席へと導くための工夫にも気を遣うところです。そうした施主さんの様々な要望を聞き取るのには十分な経験と勘を要します。ただ直接関係のない話をしながら、例えば好きな絵や食べ物といったことなどから施主さんの好みを想像し、さりげなく庭に反映したりする。そうして喜んでもらったときは、大いに励みになります。

名工からのメッセージ
「夢」を大きく持ってほしいです。実現しないから夢であり、それに近づくつもりでいたほうが続くように思います。ただ、辛抱は大事です。私の場合、入ってくる子の親にも覚悟を決めてもらいます。「10年預けてくれ」ということを親が納得すると、途中で帰った子はいなかったです。実際はいろいろな経緯で入ってくるので、後進の指導は特に気を遣うところですが、来る方も受け入れる方もそれくらいの覚悟は必要だと思います。

この技能を学ぶために役立つ訓練機関や習得法など
京都造園高等職業訓練校で造園が学べるほか、裏千家学園(茶道全般)でも造園についての授業があります。
これまでの主な表彰歴
〈知事・行政機関の局長表彰等〉
・京都府伝統産業優秀技術者表彰 (平成18年11月)
〈その他〉
・京都府職業能力開発協会 技能検定委員5年感謝状 (令和元年11月)