現代の名工Navi
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将棋彫駒製作工
国井 孝(くにい たかし)
83歳
就業地: 山形県
受賞年度
2018年
所属
銘駒天竜彫
プロフィール
私は「将棋駒のふる里」である山形県天童市出身で、幼少期は近所に将棋駒製造元(駒屋)がたくさんあった。小学生の頃は、放課後に近所の駒屋でスタンプ駒の製造を手伝い、お小遣いを得ていた。中学生からは彫駒の製造を手伝い、学校卒業後には師匠となる国井香月から誘いを受け弟子入りした。昭和32年に雅号「天竜」として独立し現在に至る。天童将棋駒彫師として「現代の名工」 に選ばれたのは、2人目となる。
※年齢・所属はいずれも表彰時のものです。
技能の紹介
将棋駒を彫る際に通常使用する字母紙を使わない「すかし彫り」の技能を有する全国でも希少な彫り師です。氏が手掛ける駒は、日本一の将棋駒産地「天童将棋駒」の中でも最高品質の駒と評価され、将棋のタイトル戦で使用されるなど、熟練した技能は全国屈指です。また、伝統工芸士として後継者育成講座の講師を長年務め後進の育成に取り組むとともに、各種イベントでの彫り駒実演、ふるさと納税の返礼品の根付駒製作など、業界発展に寄与しています。
仕事に対する思い
天童将棋駒は、日本の高度成長期に職人技による手彫り駒の生産量が増え高級品も生産されました。しかし、昭和52年頃になると機械彫りが導入され、また、低価格帯の商品が主流となり受注は激減していきました。このような中、私は由緒ある美しい書体の手彫り駒にこだわりを持ち続け、国民文化祭や各種将棋大会、各地で開催される展示会に積極的に参加し技能を披露しました。その結果、「天竜」の名が広く周知されるようになり、独自の販売ルートを開拓することができました。平成9年から平成16年まで天童将棋駒後継者育成講座の講師を務め、彫師の育成にも携わりました。これからも、全国の将棋ファンに手彫りの天童将棋駒を届けていきます。
名工からのメッセージ
私は、師匠から彫り技術の前に刃物砥ぎの大切さを学び毎日継続して取り組みました。技術を習得するためには、一日一日が勝負です。毎日継続することが大事であり、また、手本とする方の技能を見て学ぶことも有効だと思います。
この技能を学ぶために役立つ訓練機関や習得法など
天童将棋駒後継者育成講座
主催団体 山形県将棋駒協同組会 / 支援機関 天童市
これまでの主な表彰歴
1 天童市技能功労者表彰(平成12年11月)
将棋駒製作に係る技能について表彰
2 山形県卓越技能者等知事表彰(平成15年11月)
将棋駒製作に係る卓越技能について表彰
3 財団法人伝統的工芸品産業振興協会 伝統的工芸品産業功労者表彰(平成20年3月)
経済産業大臣指定伝統的工芸品の産業振興について表彰
4 日本伝統工芸士会会長表彰(平成20年11月)
日本伝統工芸士会の発展に貢献をしたことについて表彰