現代の名工Navi
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漆器工
林 克彦(はやし かつひこ)
61歳
就業地: 和歌山県

受賞年度
2023年
所属
漆屋はやし
プロフィール
和歌山県海南市出身。京都市立日吉ヶ丘高等学校漆芸科(現・京都市立美術工芸高等学校)卒業後、漆芸家の服部峻昇氏のもとで約10年間の研鑽を積んだのち、帰郷し家業を継承した。以降も作家活動に精力的に取り組み、現在に至る。みかん盃、茶器、椀、箸など、使う人の「生活を彩るためのものづくり」に丹精を込め続けている。また、漆器の魅力や技能を伝えるべく、一般向けの製作体験や後進の指導にも精力的に取り組んでいる。
※年齢・所属はいずれも表彰時のものです。
技能の紹介
氏は、伝統工芸士認定された平成19年頃から、地元で栽培されるミカンの皮などを素地に活用できないかと研究を始め、試行錯誤の末、八朔の皮や瓢箪を素地に活用した漆器の盃やお椀などを完成させた。素地には凹凸があるため、内側は何層にも丹念に漆を塗り重ね、外側は素材の風合いを損なわないよう薄く色漆を塗る。最後に蒔絵を施し仕上げられる世界に二つとない逸品は、氏が、素地から蒔絵まで一貫した紀州漆器の技能を持ち合わせているゆえ生み出されるものである。

仕事に対する思い
「みかん盃」は柑橘類の皮を乾燥させて作るので、どの品種が向いているか、乾燥のさせ方や塗り方など、試行錯誤が続き、納得が出来るものを製作できるまで5年程かかりました。
漆器業界は昔から分業制でしたので、作品を自分自身で販売することについては苦労の連続でしたが、作品を実際に手に取っていただいて、お客さんの反応を直接見ながらコミュニケーション出来るので、今ではやりがいと楽しさを感じています。

名工からのメッセージ
思いついたアイデアがすぐに形になる事の方が少ないので、すぐに上手くいかなくても、「あきらめないで保留しておく」というような気持ちの持ち方が結果的に良かったような気がします。
無駄な苦労はする必要はありませんが、努力を続ける事と諦めない事が大切です。

この技能を学ぶために役立つ訓練機関や習得法など
量をこなすことで技能を磨くことはもちろん必要ですが、自分の手で一から物を作るためには、分野を問わず、質の高いものに触れたり見たりする経験が重要だと思っています。美術館や博物館、百貨店、街中のギャラリー等、色々な場所に足を運び、技能だけでなく、感性を磨き続けてください。
これまでの主な表彰歴
〈大臣表彰〉
・伝統的工芸品産業功労者等経済産業大臣表彰 (平成30年11月)
〈知事・行政機関の局長表彰等〉
・伝統的工芸品産業功労者等近畿経済産業局長表彰 (平成28年11月)
・きのくに技能奨励賞 (平成18年1月)
〈全国レベルの業界団体表彰等〉
・公益社団法人日展 日展 入選 第33回 (平成13年)
・公益社団法人日展 日展 入選 第31回 (平成11年)
・公益社団法人日展 日展 入選 第30回 (平成10年)
・公益社団法人日展 日展 入選 第23回 (平成3年)
〈その他〉
・一般社団法人工芸美術日工会 日工会展 日工会賞 (平成10年4月)