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洗張職

田川 城道(たがわ しろみち)

 75歳

就業地: 東京都

田川 城道(たがわ しろみち)

受賞年度
2023年

所属
有限会社鹿島屋

プロフィール
父が洗張業を開業しており、長男として幼い頃から家業を継ぎ父の役に立ちたいと思って育ち、高校卒業直後に弟子として修行の道に入った。同じ新小岩の江戸小紋職人が人間国宝だと知った時に父の洗張業に人間国宝がいないことが不思議であった。そういった思いがあり、小学校の作文に「自分が大人になったら絶対に人間国宝になる」と書いた。そのことを常に思い出すため、洗張りを一生の仕事として精進しようと決意した。

※年齢・所属はいずれも表彰時のものです。

技能の紹介

長年、洗張工として従事し常に研究を重ねている。洗張りによる着物の蘇りは積み重ねた技術によるもので、思い出と共に貴重な着物を大切にする心を伝えている。現業者が減っている中、貴重な存在である。加入の東京きもの染洗協同組合では役員を務め、毎年開催の研修会に於いて経験と研鑽で積み重ねた技術を伝え、後継者への技能継承に大きな役割を果たしている。

技能の紹介

仕事に対する思い

繭や麻等の繊維から糸を紡ぎ、織や染め、絵付けをした反物で仕立て身に纏う着物。着物は何人もの職人の手を経て初めて製品になり、それぞれの顧客の思いを繋ぎます。日本の民族衣装である着物は親から子、孫まで100年以上も受け継がれます。そんな思い入れのある着物を解き、生地や汚れを見極め経験と洗いの技能で仕上げる洗張り、蘇った着物を見てこの仕事をして良かったといつも思います。先日、お母様が大事にしていた振袖を洗張りをしてお嬢様の寸法に仕立て直し納品した時、ご家族の大変喜んだお顔に接し大きなやりがいを感じました。この度の「卓越した技能者」に表彰されたことは、改めて仕事に向き合う大きな励みになりました。

仕事に対する思い

名工からのメッセージ

着物需要が少なくなっている現在、まずはご自分が着物を着たいと思ってください。日本の伝統文化である茶道・華道・日本舞踊等と同じ様に民族衣装の着物は絶対に無くならないし、無くしてはいけないものです。古来から受け継がれる染めや織の技法を守って行くためにも、貴重な着物を洗張りで再生し残して行く事は継承し続けなければなりません。伝統を守る裏方として目立ちませんが無くてはならない仕事です。

この技能を学ぶために役立つ訓練機関や習得法など

洗張現業者の仕事場で学ぶのが一番です。

これまでの主な表彰歴

〈知事・行政機関の局長表彰等〉
・東京都優秀技能者知事賞 (令和3年11月)

受賞歴