現代の名工Navi
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将棋駒製作工
櫻井 和男(さくらい かずお)
76歳
就業地: 山形県

受賞年度
2024年
所属
将棋駒製作掬水
プロフィール
山形工業高等学校を卒業し、一旦は農協や土地改良区に就職したが、決められた時間の中での仕事より何かモノを作る仕事に就きたいと思った。父に天童の地場産業の将棋駒を提案され、紹介された師匠から書駒の作り手が少ないと聞き書師の道に入った。その後、同じ師匠についていた彫師である兄弟子から「天童からタイトル戦に使える駒を作ろう」と熱心に誘われ、盛り上げ駒の製作に本格的に取り組むようになり、今では名人戦を始め数多くのタイトル戦で使用されている。
※年齢・所属はいずれも表彰時のものです。
技能の紹介
将棋駒の最高級品である「盛上げ駒」製作において、工程別に分業制となる木地作りから仕上げまでを一貫して製作することができ、その中でも「彫り埋め」の技術と「盛り上げ」の技能は他者とは一線を画す技術力の高さがある。
氏が製作した将棋駒は、竜王戦をはじめ、将棋タイトル戦で多数使用され、天童将棋駒の地位向上に大きく貢献した。また、後継者育成講座の講師を長年務め、若手駒職人を多数誕生させたほか、伝統工芸士の育成にも尽力する等、後進の育成に貢献している。

仕事に対する思い
私が将棋の駒作りを始めた当時は、天童市に盛り上げ駒を作る技能を持っている駒師がいなかったので、試行錯誤しながら改良を重ねるしかありませんでした。
失敗を繰り返し、その都度、漆芸の専門書を参考にしたり専門家の意見も聞きながら、兄弟子との二人三脚で改良を重ねました。その甲斐もあって、昭和60年の十段戦(現在の竜王戦)に初めて自分の作った駒が使用され、天童高級駒の名を全国に知らしめることとなり、それまでの苦労がやっと報われたと感じました。
駒作りに際しては「丈夫で美しく使いやすいこと」をモットーとして取り組んでいます。今後も、その名に恥じることのないよう精進を重ねていきたいと考えております。

名工からのメッセージ
駒師の仕事は、コンスタントに仕事が入るわけではありませんので、自分で開拓していくしかない職業です。
また、将棋駒は将棋を指す道具であり寸法・形状・文字など制約の多いモノづくりです。本人が高い技能を持っていないと生き残っていけない職業だと思っています。だからこそ、達成できたときの満足感は素晴らしいものがあります。
是非、やってみたいと思う方、興味のある方は経済産業大臣指定の伝統的な工芸品である「天童将棋駒」については山形県将棋駒協同組合にお問い合わせください。
この技能を学ぶために役立つ訓練機関や習得法など
山形県将棋駒協同組合事業の後継者育成講座
これまでの主な表彰歴
<大臣表彰>
・伝統的工芸品産業功労者等経済産業大臣表彰(令和5年11月)
<知事・行政機関の局長表彰>
・山形県卓越技能者等知事表彰(平成23年11月)
<全国レベルの業界団体表彰>
・日本伝統工芸士会 会長功労者表彰(令和元年11月)
<その他>
・文化庁長官表彰(平成31年3月)
受賞歴