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表具師

三上 和德(みかみ かずとく)

 74歳

就業地: 長野県

三上 和德(みかみ かずとく)

受賞年度
2024年

所属
永咸堂三上表装店

プロフィール
 長野県佐久市出身。父が表具師であったことから幼い頃より後を継ぐのが当然と思っていた。高校卒業後、県外で内装、壁装について修行した。仲間と研究会を立ち上げて仕事の質を追求していた頃、接着剤メーカーの社長に諭され、修行のやり直しを決意して学び直す。現在は長野市松代町に居を構え、地域に溶け込んだ仕事を大切にする。壁紙を貼る「糊(のり)」の開発や改良のほか、全国で施工実習の講習会を開くなど、精力的に活躍中。

※年齢・所属はいずれも表彰時のものです。

技能の紹介

 表具に関する優れた知識、技能及びアイデア力を有しており、伝統的に使用されてきた正麩糊の使いやすさを継承しつつ、劣化によって本紙の折れや破断が生じやすい欠点をカバーした裏打専用糊の開発を行った。また、不可能とされていたガラスビーズ絵画への裏打ち法の考案を行った。
 中央及び長野県の技能検定委員や講習会の講師を務めたり、長野県認定「信州ものづくりマイスター」として中学生等の若年者に講座を行ったりする等、後進指導育成にも積極的に取り組んでいる。

技能の紹介

仕事に対する思い

 美術表具は失敗が許されません。手を付け始める時の気持ちを調整し、個々の作業工程に緊張感をもって取り組む困難な仕事です。しかし、お客様が仕上がった作品を見て喜び、満足してくださる姿を見る時、やりがいを感じます。
 松代町で毎年執り行われる念佛講「百万遍」で使われる二幅の掛軸は、二百年以上前に描かれたもので大変傷んでいましたが、仕立替えをして地域の宝を復活させました。また、長野市鬼無里で毎年曳航される祭屋台の屋根を銅板葺きから本来の和紙葺きに修復したのも大仕事でしたが、やり遂げることができました。
 地域の宝物を今後も長く使えるよう修復したことで、その地域の皆さまから大変感謝いただいたことを嬉しく思います。

仕事に対する思い

名工からのメッセージ

 内装仕事のルーツは表具にあります。先人の知恵が脈々と伝えられ、今があります。壁紙施工職人を目指すのであれば、基礎をしっかり学んでほしいです。原料や素材の性質を知り仕事のルーツを知るため、先輩職人に教えを乞うてください。いつも目標を持って前向きに励んでいきましょう。
 また、最近は良質な和紙や材料が手に入りにくくなっています。技能を継承するためには、良質な材料を作る職人や道具職人を守ることも必要です。

仕事に対する思い

この技能を学ぶために役立つ訓練機関や習得法など

表具を学べる学校はありますが、腕の良い経師(表具店)に弟子入りする方が良いでしょう。

これまでの主な表彰歴

<知事・行政機関の局長表彰>
・長野県卓越技能者 知事表彰 信州の名工(平成28年11月)
・信州ものづくりマイスター(平成29年2月)

受賞歴

厚生労働省「ものづくりマイスター」 平成27年度 認定 表装職種
全技連マイスター  平成24年 認定 表装職種
第14回技能グランプリ 表装(壁装作業)職種 第2位 / 中央職業能力開発協会長賞 / 壁装グランプリ推進協議会 全国表具経師内装組合連合会長表彰(平成7年3月)
一級技能士全国技能競技大会(第12回技能グランプリ)表装(壁装作業)職種 第5位(平成5年3月)