Vol.07 多くの方に「庭を好きになってもらいたい」。 お客様の気持ちを大切に、一つ一つを創造していく。
造園技能士 1級
(平成14年度取得)
秋山 佳弘さん
1976年生まれ
秋山造園 有限会社 所属
造園技能士とは
造園は、住宅の庭づくりはもとより、公園緑地や街並みを計画し、快適な住環境をつくります。造園技能士はそのような造園を行うための、庭や木々に関する知識や技能を有する技能士です。
秋山 佳弘さんのお仕事
秋山さんは、個人宅の庭づくりを数多く担当しており、良い庭を造り上げていくことをお仕事としています。中でもそれぞれの竹の特徴を見極めて、竹を割っていく技能が求められる「垣根」を造ることを得意としています。
造園の仕事に興味を持ったきっかけを教えてください。
祖父・父が造園の仕事をやっていたので、物心ついた時から造園というものが身近にあり、自然と興味を持つようになりました。小学生になるころには「祖父や父と早く一緒に働きたい!」という思いが強くなり、造園の道を志すようになりました。
技能士資格の取得までの経緯を教えてください。
私の場合は幼いころから、「とにかく早く造園技能士になりたい!」という思いが強かったので、高校を卒業して働き始めてすぐに資格取得を目指しました。組合の講習会へ積極的に参加し、休憩時間や仕事の後にも勉強を進めました。
実技については、垣根に割く時間が全体の半分近くになりますので、いかに時間内に正確に仕上げるかを考え、日々の練習を繰り返すことで、良い垣根を造り上げる技能を身に付けていきました。
そうした積み重ねのおかげか、26歳の時に1級造園技能士の資格をほぼ最短で取得することができました。
1級の資格を取得して、何か変化したことはありますか?
多くのお客様に、より安心感を持ってもらえるようになりました。
1級造園技能士取得後は、造園施工管理2級・造園基幹技能者・職長安全衛生責任者の資格を取得することができましたが、私はまだステップアップの途中だと考えているので、これからも挑戦を続けていきたいと思います。
お仕事の中で、特に心がけていること・気を配っていることを教えてください。
お客様一人一人の気持ちを大切にしています。そのために、挨拶・気配り・目配りを大事にして、人としても信頼してもらえるように努めています。
信頼関係を築いていけると、お客様の心からの要望を聞けるようになり、結果としてお客様に喜んでもらえる庭をつくれることにもつながっています。
お仕事の中で、大変なこと・苦労することがあれば教えてください。
自然を扱う仕事なので、イメージと違った仕上がりになってしまうところです。例えば垣根であれば、イメージよりも低かったなと感じることもあります。
実際に仕上がってみないとわからない部分もあるので難しいところですが、そういった経験を次に活かすことで、イメージと実際の仕上がりの差を縮められるようになっていきます。
秋山さんがお仕事の中で「輝いている」と感じる瞬間を教えてください。
一番はお客様に喜んでもらえた時です。「ありがとう」や「また来年もお願いします」といった言葉をかけてもらえることは、とても嬉しいです。
また、ある程度内容をお任せ頂くケースもあるのですが、その作品の仕上がりにお客様の満足を頂けたときは、私にとっても喜びを感じる瞬間です。
造園の技能向上のために、日ごろ努力されていることを教えてください。
同じ現場で働く仲間と情報交換をして、お互いに向上していけるよう努めています。
また、造園以外の庭を扱う職人の技能を見ることで、庭に対する考え方・働き方を学ぶことができるので、それを造園に活かしているケースもあります。
今まで私は、多くの講習会を経て技能を学ばせてもらったので、その経験をもとに、今度は自分が若手に技能を伝えていこうと講習会の開催に協力し、お互いに刺激し合えるような場をつくれるようにしています。
秋山さんの今後の夢や目標を教えてください。
今後、私はお客様に庭をもっと好きになってもらいたいです。たとえ狭い庭でも、「庭に出たいな!」と思ってもらえような、居心地のいい空間作りができるよう、日々頑張っていきます。
また、組合主催の造園技能大会に出場していきたいと思います。過去にも数回出場したことがあるのですが、入賞する・しないに関わらず、人前で技能を披露することは、必ずプラスになってその後の仕事に活きているので、これからもそういった機会を増やしていきたいです。
最後に、これから造園技能士を目指す人へのメッセージやアドバイスをお願いします。
造園士は夏の暑い時期など、本当に大変だと思いますが、そのキツイ時に頑張った一歩が必ず力になります。
「必ず造園技能士になるんだ!」という強い目標を持って取り組んでみてください。
1級の実技試験は試験時間は3時間30分です。もちろん普段の仕事でも、検定と同じように時間の制約があります。
職人ですので、こだわろうと思えば何時間でもこだわって作業してしまうところを、いかに時間内で良い仕上がりにできるのかということも、プロの仕事の一つですので、時間を意識して実技試験を受けることは、実際の仕事にも活きてきます。
そして、資格を取得できた後も、そこで終わるのではなく、仕事へ活かす・次へつなげるといった歩みを進めていってほしいと思います。
プロの道具~造園技能士編
竹割(写真上から二、三番目)・杭張り(写真の一番下)
■竹割(写真上から二、三番目)
その名の通り、竹を割るときに使います。重さや厚さ、研ぎ具合は人によって好みがあるので、こちらは長年愛用しているものになります。
■杭張り(写真の一番下)
主に竹を紐で結ぶときに使います。手が届かない裏側まで紐を回すことが出来るので、垣根を造るときには欠かせない道具です。ちなみに写真の杭張りは、父から受け継いだ50年以上の年季の入ったものです。
愛着のある道具たちですので、代えるということはほとんどありません。共に造園の道を歩んできた相棒のように感じています。
秋山 佳弘さんのある日のスケジュール
- 7:30
- 会社集合
- 8:00
- 現場到着・作業開始
- 10:00
- 小休憩
- 10:20
- 作業再開
- 12:00
- 昼休憩
- 13:00
- 作業再開
- 15:00
- 小休憩
- 15:20
- 作業再開
- 17:00
- 作業終了
- 17:30
- 片付け・現場から撤収
- 18:00
- 会社到着・解散