「作りたい」を形にする
 プログラミングの技能

令和3年度 
学校編
業務用ITソフトウェアソリューションズ

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  • 指導先
  • ITマスター

和歌山県立田辺工業高等学校

「ものづくりは人づくり」をモットーに、基礎学力の定着と専門的かつ実践的な知識・技能の習得、キャリア支援と勤労観・職業観の育成、豊かな人間性と市民性の育成、地域と次世代を担うものづくりスペシャリストの育成を目標に掲げ、教育活動に取り組んでいます。

岡田 政彦(おかだ まさひこ)さん

大学を卒業後、一般企業にてネットワーク管理装置や防災無線管理装置のソフトウェア開発、運用、保守に携わった後、IT資産ソフトウェアの要件定義、設計、品質保証に関わってきました。プログラミング教室の企画運営や指導も手がける中で、子どもたちや若い世代へのIT教育に力を注いています。

ITマスターの
実技指導を依頼した理由

学年の習熟度に応じた
プログラミングを
段階的に学ぶ

和歌山県立田辺工業高等学校
情報システム科 教諭
田村 豊(たむら ゆたか)さん

背景

トレンドを考慮した社会で役立つ
ITスキルを教えたい

田辺工業高校に平成15年に設置された情報システム科は、和歌山県内および近畿地方の公立高校で唯一、ITを専門的に学べる学科です。そのため、高卒生の採用に力を入れるIT企業からの求人情報を毎年多数いただいており、当学科は高い就職率を誇っています。また、進学を希望する生徒に対しては、IT教育に力をいれる大学・専門学校への受験支援を行って、多くの生徒たちを送り出してきました。中でも、IT分野は技術の進歩が早いため、教員だけでは最新のトレンドをキャッチアップしきれないのが現状です。就職先や進学先で役に立つITスキルを指導するためには、授業だけでは不十分と考え、ITマスターの指導をお願いしました。

効果

生徒が自身の興味や
適性を考える機会に

岡田マスターには、情報システム科の全学年で指導していただいています。1年生は、ビジュアルプログラミングを活用し、PC画面上に表示される図形などを組み合わせる、視覚的なPC操作を通してプログラミングへの興味関心を高める講義、2年生は、htmlとCSSを使ったWebサイト制作をお願いしており、普段、生徒たちが目にするWebサイトがどのように構築されているのかを学べる機会となっています。3年生はアプリケーションの開発を通して、応用的なプログラミングの指導をしていただいております。各学年の学習レベルに相応した内容で、プログラミングの入門から応用までを身につけられる講義を実施してきました。ITマスターのご指導により、生徒たちの多くが自分の興味・関心のある分野や適性を考える機会にもなっており、就職、進学をより具体的に考えるきっかけにもなっています。

実施したプログラムの内容

Webサイトを制作した経験のない生徒が多数を占めるため、htmlとCSSの基礎から習得できる指導内容としました。講義の中では、架空の不動産会社のWebサイトを制作する課題を設け、指導の回を重ねるごとにWebページをカスタマイズできるように、プログラミング技能の向上に努めました。

実施プログラム

実施内容
Webサイトの制作
目  的
htmlとCSSの技能の習得
受講対象
情報システム科8名(2年生)
1回目
VS Code入門
2回目
html5の基礎知識、Java Script入門
3回目
CSS3の基礎知識、Webサイトの構築
4回目
トップページの作成、リンクの設定、Webページの動作検証
5〜6回目
学習内容を基にオリジナルトップページの作成

Crosstalk Interview

Webサイト制作を通じて
プログラミングの
技能向上を図る

Talk member

ITマスター(業務用ITソフトウェアソリューションズ)

岡田 政彦(おかだ まさひこ)さん

情報システム科2年

泉 楓(いずみ かえで)さん

自分の考えたことを
Web上で表現する

受講者の泉さん、ITマスターの指導プログラムはどのように学ぼうと思われましたか。

私は将来、IT関連の仕事に就きたいと考えているため、プロであるITマスターにご指導いただき、知見を拡げたいと思いました。また、普段の授業では主にC言語の習得に向けて頑張っているのですが、他のプログラミング言語も学んでみたいと考えていたので、興味を持って臨むことができました。

2年生が学ぶ「Webサイトの制作」のプログラムで特に工夫された点はどんなところでしょうか。

岡田マスター初回の講義で生徒たちに興味を持ってもらえるように、「htmlを使って自己紹介をしよう」という内容にして、まずプログラムを使うことで自分の考えたことをWeb上で表現できることを伝えました。生徒の多くは、htmlに触れるのが初めてだったようですが、楽しんで講義に取り組んでいました。指導の中では知識の差によってつまずくことがないよう、生徒それぞれの状況を見ながら、適宜サポートを行い、6回で無理なくWebサイト制作が段階的に学べるようにしました。

講義では初学者向けのテキストを使って、Web制作を一から順を追ってじっくりと学ぶことができました。2回目以降は、「架空の不動産会社のWebサイト」を制作する課題に取り組みました。

トライ&エラーを通して
技能は磨かれていく

Webサイトの制作において、重要な点はどのようなところにあるのでしょうか。

岡田マスターまずは、自分で手を動かして、何事も経験してみることが大切だと思います。講義で用いるテキストにはWebサイト制作について一通り書かれているものの、自分で試してみてわかることはたくさんあります。知識や技能が未熟な時期は、最初から完璧に仕上げられることはないのでトライ&エラーを重ねながら、自分の中に経験を蓄えていくことが大切です。それが、上達への近道になると思います。

泉さんは、講義の中で難しかった点はありますか。

Webサイトは、htmlの記述を変えることで、画面に表示する文字の大きさや、色を変えたりすることができます。難しいと思うのは、少しでも記述に間違いがあると、自分が思ったように表示できないことです。講義の中でも、思ったような形にできない場面があったのですが、何度、htmlを見直しても間違えた箇所がわかりませんでした。岡田マスターはその際も一目で記述の間違いを見つけて、修正ポイントを教えてくださいました。一瞬で気づかれたことに本当に驚きました。

岡田マスター最初は、コードの間違いに気づくのも難しいと思いますが、経験値が上がっていくと、勘所がわかるのですぐに対処できるようになります。大切なのは、プログラムに触れるのを嫌いにならないこと。わかることが好きにつながり、没頭できるようになると技能はどんどん磨かれていきます。まずはゆっくりでもいいので、一つひとつ、つまずくポイントを潰してあげることを、講義では大切にしています。

PCひとつで
未来は切り拓ける

今回の指導を受けて、何か制作してみたいものなどありますか。

講義を通してWebサイトの制作ができるようになったら、個人でもWebサイトを作ってみたいと考えています。例えば、自作でブログのような個人のWebサイトを作り、日常のできごとや考えなどを発信できる場所を作ってみたいです。

岡田マスター「作りたい」という情熱を持つことが、ものづくりには一番大切です。それは、Webサイトに限らず、アプリやゲームでも、なんでも良いと思います。いまやプログラミングは専門家や技術者だけのものではなく、インターネットで検索すると、あらゆる情報が得られる時代です。わからないことがあれば、世界中にいるプログラミングに詳しい方々から、直接もしくは間接的に教えを請えるので、これを活かさない手はありません。チャンスは拡がっているので、ぜひ何事にも興味を持ってチャレンジしてもらえたらと思います。

岡田マスターは先生というお立場ではあるものの、私たち生徒の理解度に合わせて講義を行ってくださり、大変お話ししやすく、わからない点も気軽にお聞きできました。Webサイト制作への興味が深まってきたので、自分でもインターネットを閲覧する際に好きなWebサイトの情報を収集していけたらと思います。また、岡田マスターは最新のゲームやアプリなど、生徒が興味のある分野にも詳しいので、お話を聞いていて新たに学んでみたいプログラミング言語が増えました。

それでは最後に、岡田マスターから一言いただけますか。

岡田マスターITにはチャンスが拡がっています。アイデアと技能があれば、PCひとつで未来を切り拓いていける分野です。だからこそ、新しい技術などにもどんどん興味を持って、より深く学んでもらえたらと思います。また、最近はリモートワークが浸透し、 ITを介して働き方の多様性が拡がっています。昔は都市部でしか携われなかった仕事でも、今では和歌山であっても、どこに住んでいるとしても、関わることができます。仕事とプライベートを両立しやすい分野がITの醍醐味のひとつと言えるでしょう。一人ひとりが将来なりたい姿を叶えるために、ITを学び、技能を高めてもらえると嬉しいです。