事例
07
2019
米粉と食感にこだわった起立する「旬ロール」
more
平成23年、「Patisserie 旬」を創業。
平成25年度ものづくりマイスター、平成26年度奈良県卓越技能者表彰、平成16年「奈良県洋菓子コンテスト」奈良県商工会議所連合会会長賞、平成18年「奈良県洋菓子コンテスト」金賞、平成28年「ならスイーツコンテスト」グランプリ
米粉の絶妙な配合で「旬ロール」は起立する
「Patisserie 旬(パティスリーシュン)」は、店名の由来ともなっている“旬”のフルーツを使った各種ケーキを提供しています。中でも、起立するユニークなロールケーキとして、お店の名物となっているのが「旬ロール」です。
“起立する”という着想には、修業時代に読んだ本で出会いました。通常ロールケーキは横に寝かされた状態でディスプレイされており、これまでたくさんのお店を巡りましたがいまだに起立するものは見たことがありません。そのユニークな姿をいつか自分の手で商品化したいと考え、旬ロールを開発しました。
もちろん味にもこだわっています。特徴は、起立するほどのふっくらとした生地と、もっちりとした食感。それらを両立させる秘密は、米粉と小麦粉をミックスした生地にあります。この配合が非常に難しく、米粉が多すぎると生地の焼き上がりが膨らまず、少なすぎるともっちりとした食感が出せません。何通りもの配合を試した結果、ふっくらもっちりを両立させる「米粉1、小麦粉3」というベストの比率にたどり着きました。
いまではユニークな見た目と、こだわりの味によって人気商品に成長し、お店に入るなり、「旬ロール!」と第一声で指名してくれるお客さんもいます。お客さんに喜んでもらえるのは、本当にうれしいことですね。これからも皆さんに幸せを届けられるように、技能の向上に取り組んでいきたいと考えています。
粉ふりも砂糖も普通のケーキと違う
旬ロール(プレーン)は食感にこだわり、製作工程に様々な工夫を凝らしています。
ケーキをつくる際、ダマにならないように粉をふるいにかけますが、多くのお店では1回しかやりません。旬ロールは必ず2回ふるいにかけ、粉をより多くの空気に触れさせてダマを無くすことで食べたときの口当たりを良くしています。生地に混ぜる砂糖も一味違います。ケーキづくりではグラニュー糖を使うのが一般的ですが、それより結晶が細かい上白糖を混ぜることで、しっとりした食感を演出。さらに、同じ目的で保湿性の高いみずあめも加えています。
生地に塗る生クリームも当店のものは、少し変わっています。砂糖に加え、他店では珍しい練乳を加えているのです。それによって、なめらかな食感と少しあっさりした味に仕上がっています。
また、旬ロールは、プレーンに加えてイチゴ味、抹茶味、チョコレート味という計4つの味があります。イチゴ味の生地にはハチミツを入れてコクを出すなど、味ごとに細やかな調整も行っています。
こだわりの米粉
お店をオープンする際に目玉商品をつくりたいと考え、注目をしたのがケーキの材料としては珍しい米粉でした。それに加え、「ジャパン・ケーキショー東京」というコンテストに、米粉を使ったお菓子の部門があったことも理由のひとつです。旬ロールは、地元奈良県産の米粉を使用し、地産地消のケーキとなっています。
技能検定
菓子製造(洋菓子製造作業)
菓子製造職種(洋菓子製造作業)は、スポンジケーキ、パイ、ビスケットなど洋菓子を製造するのに必要な技能・知識です。生地調整、成形加工、熱加工、仕上げ、デザインなどの製造作業に関する技能・知識などを対象にしています。菓子製造職種は、他に、和菓子を作る和菓子製造作業もあります。
青木旬弘/Patisserie 旬
〒639-1134 奈良県大和郡山市柳町77-1
TEL 0743-52-3340