グッドスキルマーク

技 GOOD SKILL

事例

18

2021

100種類以上を焼き上げお客様を笑顔にするパン作り

令和元年度 認定 パン

パン工房 ポレポレ

青山あおやま 宗敬むねよしさん

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平成元年パン工房ポレポレを創業、代表取締役を務める。平成26年技能検定1級パン製造(パン製造作業)に合格。平成28年ものづくりマイスターに認定。

毎日、100種類を超えるできたてパンを販売

パン工房ポレポレは、福井県福井市に店舗を構える、町のパン屋です。

当店の最大の特徴は、パンの種類の多さだと思います。平日では約100種類、土日になると120種類を超える品揃えを誇ります。これほどまでに品数が増えた理由は、常に新しい商品を開発し、お客様を喜ばせたい気持ちに他なりません。例えば、旬のフルーツを使ったパン、季節のイベントを模したパン、お誕生日を祝うバースデーパンなど、お店を訪れるたびに新たなパンと出会えるように工夫しています。

新商品を開発する際は、とにかく作って販売してみるのが一番です。美味しいものは、やはりお客様が良い反応を示してくれますので、とにかく試すことを大切にしています。販売するパンは、すべてが店舗での手作り。深夜2時ごろから成形を開始し、準備できたものから順次、パン窯で焼き上げていきます。100種類ものパンを完成させるには、毎日が時間との勝負です。計4台の焼き窯をフル稼働させてパンの種類に応じて火加減を調整し、焼き加減を見極めながらどんどん商品にしていきます。ちなみに、同じ種類のパンは原則1日に1回しか焼きません。少量多品種をかなえるためにも、手際よく作ることを大切にしています。

お客様には数多くのパンを一つひとつ吟味できるように、当店は朝の6時から営業をスタート。食べたいパンをゆっくりと選んでいただきたいという想いを込めて、お店の名前をスワヒリ語で「ゆっくりゆっくり」を意味する「ポレポレ」と名付けました。ありがたいことに、閉店時間の間際には、100種類を超えるパンのほとんどが完売するんです。

ゆっくりじっくり愛情を込めて育てるパン

私は、「パンは作るものではなく、育てるもの」だと考えています。当店秘伝の酵母菌は、生地を必要以上に手で捏ねなくとも、ふっくらさせる性質を持っています。温度管理さえしっかりとすれば、生地は捏ね始めの段階よりも1.5倍に自然に膨れ上がり、美味しいパンの土台ができあがるのです。

生地を作ったあとに大切にするのは、「低温熟成」です。当店で焼くパンは、焼き上げるその日に作るのではなく、前日に生地の仕込みを終わらせ、冷蔵庫でじっくりと低温熟成させます。一晩をかけて生地を寝かせることにより、柔らかな食感が生まれ、冷めても美味しいパンができあがります。

酵母菌は生き物であるため気温、配合物の種類等の諸条件によってパンの味を大きく左右します。発酵のコントロールは長年の経験により培われたものですが、1級技能士の技能が土台になっています。

ゆっくりじっくり愛情を込めて育てるパン。ここにも「ポレポレ」の精神は宿っています。

創業から30年以上、この仕事に携わってきた中で思うのは、パンは作り手の気持ちが伝わる食べ物、だということ。気分が落ち込んでいたり、焦りが出ていたりすると、おいしいパンはできあがりません。心の動きは美味しさに影響します。だからこそ日々、私は一生懸命にパン作りに向き合い、地域の方に美味しさを噛みしめる幸せをお届けできたらと思い、今日も元気にパン作りに励んでいます。

こだわりの

創業時から使用する秤は、今どき珍しいアナログ目盛りのタイプ。材料を計量する際に用いるのですが、デジタルな数値ではなく分銅の動きによって分量を把握できるため、感覚的な判断ができ、大変重宝しています。美味しいパンを作るために長年私を支えてくれている大事な相棒です。

技能検定

パン製造(パン製造作業)

パン製造(パン製造作業)は、パンを製造するのに必要な技能・知識を対象としています。内容は、材料の選定、生地の調整(材料の配合、仕込み)、熱加工、仕上げ、製品検査、積算・見積りなどのパン製造作業に関する技能・知識と、併せて、パン一般、材料、関係法規、安全衛生などの知識も含まれています。

青山 宗敬/パン工房 ポレポレ

〒918-8015 福井県福井市花堂南1-3-6
TEL 0776-35-6746
https://www.instagram.com/porepore198902/