グッドスキルマーク

技 GOOD SKILL

事例

11

2019

「よし!やってみよう」から生まれる多彩な家具

  • ウォールナット材の椅子と机

    ウォールナット材の椅子と机

平成30年度 認定 家具等

髙野家具製作所

髙野たかの 二郎じろうさん

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鉄工所勤務を経て、別府市の家具製作所で12年間修業を積んだのち、昭和58年に「髙野家具製作所」を創業。オーダーメイドの家具を手がける。平成27年度ものづくりマイスター、削ろう会大分支部代表

お客様とのコミュニケーションから生み出す製品

「髙野家具製作所」は、テーブル、机、椅子、たんす、棚などの一般的な家具だけでなく、多様な製品をオーダーメイドで手がけています。家具類を中心に部屋を丸ごと設計施工したこともありますし、数年前には世界最大級の木製スピーカーを作りました。お客様から依頼があれば、全く経験のない仕事でも「よし!やってみよう」と挑戦するのが私のポリシーです。

お客様とコミュニケーションを取りながら、それをかたちにしようと試行錯誤する中で新しいものが生まれてきます。例えば、「滑らないお盆が欲しい」というお客様の声を受けて作ったノンスリップ加工のお盆もその一つです。お盆の上にコップなどを載せて、かなりの角度まで傾けても滑り落ちません。その秘密は、塗装面に塗ったウレタンにあるのですが、塗る際の適切な温度や分量など苦労しながら探り当てました。塗料を塗った状態で60度の温度を数時間保つのがポイントで、箱の中にお盆を入れてドライヤーで温める工法を考案しました。

素材にも工夫をこらし、中面には丈夫な杉などを使用。外面には加工しやすい桜を使用するなど材料にこだわるだけでなく、側面に割れ止めを施すなど、加工にも工夫しています。

家具や工芸品は、使えば使うほど味が出てきます。自分が作った製品を気に入っていただいて、お客様と長いお付き合いができれば最高ですね。

妥協を排した材料選びから加工

製品づくりは材料選びから始まります。失敗が許されないので厳しい目で選び抜きます。木材は板を見て、手で触っただけで、その木の育ちや現在の状態がすぐにわかりますよ。材料が決まればデザインです。例えば、椅子なら座る方の体型なども考えながら快適性を追求します。また、歴史的な宝物からデザインのヒントをもらうこともありますね。奈良の正倉院には何度も足を運んで宝物を目に焼き付けました。加工工程では、のこぎりやカンナなどを使い、長年の経験で培った微妙な力加減や手さばきの技で、デザイン通りの形状に仕上げていきます。

塗装も重要な工程です。先ほど触れたとおり、ノンスリップ加工のお盆では、ウレタン塗装の上に特殊な塗料を塗って滑らない工夫をしました。お客様に満足していただくため、妥協は絶対にしたくありません。

現在、私は「削ろう会」の活動などを通じて技能の伝承に努めています。次の世代に日本の技能を伝えるとともに、家具や工芸品にまつわる素晴らしい日本文化を後世に残していきたいと思っています。

こだわりのカンナ

髙野さんは道具に徹底してこだわります。特にカンナは約200種を用意しています。三代目千代鶴延國などの高級品から、必要であれば手作りしています。大きさや形も多種多様な中から、材料や製品に最も適したものを使い分けています。使用前には必ず刃を研ぎ、台をていねいに調整します。職人の魂が宿った道具の数々です。

技能検定

家具製作(家具手加工作業)

家具製作(家具手加工作業)は、たんすや書棚のような「箱物類」、机や椅子に見られる「脚物類」といった家具を製作する仕事を対象としています。家具製作には、木工機械を使用して家具を製作するのに必要な技能・知識を対象とした家具機械加工作業もあります。

髙野二郎/髙野家具製作所

〒879-5521 大分県由布市挾間町鬼瀬770-10
TEL 097-583-5036