地域の石造物文化の継承と創造活動

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平成29年度下半期

地域の石造物文化の継承と創造活動とは

地域の石造物文化の継承と創造活動

○山形県内の石工業者15社が集まり、地域の寺社の石垣や石段の修繕等を研修として活用しながら石工技能の継承及び向上を図る取組。
◆新規の石造物が少なくなる中、資金難等の問題から修繕が滞っている寺社を研修に活用することで、技能継承や若年技能者の技能向上を図りつつ、地域に貢献していることが評価された。
◆また、地元の石材・景観を取り入れた墓石の提案や、自然への感謝の意を込め県内で古くから建立されている「草木塔」の小・中学校への寄贈など、石材施工を通しての地域に根差した幅広い取組が評価された。
[写真:白鷹山参道修復工事の様子]

取組の詳細

①石造物の文化の継承と創造
~地域の寺社の石垣や石段の新設・修復作業を研修に活用~
 新たな「石造物」の製作などが少なくなり、業務として石垣や石段の工事や修復に携わる機会が減少していることから、修復工事を技能伝承や若年技能者の技能向上を図る場として位置づけ、会員以外の石材施工関係者にも呼びかけて研修会を実施している。
 この研修会は「修復ボランティア」的に実施し、構造物の維持に苦慮されている関係者に感謝されている。
 また、修復施工の中で培った「石材加工」「デザイン」の技能に更に磨きをかけて、地元石材を活用した「石工芸作品」を製作し、「県美術展」に出品し高い評価を得ている。
②山形の風土・景観に合う「オリジナル墓石」の提案
 地元の「蔵王石」や「最上石」を使ったオリジナル墓石をデザイン製作し、山形市の「文翔館」(旧県庁舎)で開催された「むらやま創作工房展」などに出展、来場者から注目を集めた。(地場産業の職人と商品企画のコンセプターが協働して新しい製品を生み出していく山形県村山総合支庁の補助事業)
 中国等の輸入石材使用が多い中、石材業界や消費者に対して、地元の石材を使用した付加価値を提起する活動で、地域に貢献している。
③墓地景観を考慮した墓石の提案
 墓石の製作に当たり、墓地全体や周囲の墓石との調和を考慮し、CG等を活用した「墓地景観に合った墓石」を提案し、寺院との協議により、「墓碑建設要項」を制定し、景観維持に努める活動をしている。
④「草木塔」を小中学校に贈る運動
 古くから地域に伝えられている草木の命を尊び供養する「草木塔」を小中学校に贈り、子ども達が自然を大切にし、自然に感謝する心をはぐくむ「自然・環境・歴史の学習」に活用されている。
[写真:地元石材を活用したオリジナル墓石]

取組のアピールポイント・特徴・取組の効果

1.活動の背景
 墓地(お墓)を景観という視点からとらえるところからスタートし、新たな石の文化の創造を目指す取組である。
 「墓地・墓石」の風景を見たとき、「墓地」にふさわしい景観があるのではと考え、「墓地」の持つ意味を表現できる景観や、墓参しやすい設計・デザインのお墓を作れるのは「石工」であり、施主やお寺に提案できるのも「石工」ではとの思いから、これを契機に研究会を発足させた。
2.活動の意義
 石工の仕事を、「単なる石のものづくり」に終わらせず、対象物が深い精神性と文化に裏づけられていることの理解と、環境との調和に思いを至らせ、古くからの精神風土に結びついた「石造物」に対する石工の責務の認識、石段・石垣などの構造物を作り上げた技能伝承の取組など、「ものづくりの本質」を追及して活動していることに意義がある。
3.取組の効果
(1)石材技能の伝承・向上を目的とした「石の構造物」の補修工事については、各種の石材関係団体から参加があり、着実に定着しており、これらの取組により「技能検定」受検、 「技能グランプリ」参加などの他の事業にも好影響を与えている。
(2)石材業界における同会の存在が認識され、各種のイベントにおいて同業界の他団体と共同して取り組むようになり、石材業界の事業効果を高めることができている。(例:「ものづくりフェスタin山形」等の「ものづくり体験イベント」)
(3)墓地の景観を重視して墓石をつくる取組に賛同する寺院が少しずつ増えている。
[写真:山形県内の小学校に寄贈した草木塔]

企業・団体の紹介

墓地景観創造研究会

山形県内の石工業界の15社が結集し「地域の環境や歴史に根差した墓地景観を創造する」ことを目的に1999年結成した。お墓が慰霊・鎮魂の象徴であり、墓地全体を一つの景観という視点で捉えてお墓をデザインすることを提案する他、古来の風習や精神文化を具現化した「石造物」や、石垣・石畳・石段など、石の構造物の製作施工技能の伝承と創造に取り組む団体である。

所在地
〒990-0351
山形県東村山郡山辺町大字簗沢3083-3

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