平成28年度
製造業
金型製作
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日本の製造業の進化を支える
精緻な金属加工技術
製造業において大量生産を可能にする金型は工業製品の命ともいえる存在。創造性と高い精度が要求される金型はいまなお国内メーカーが強みを発揮する。急速に進歩する最新技術に柔軟に対応し、最先端の金型づくりを担う機械加工の技能者は、日本の製造業を支える存在でもある。
技能者の紹介
技能者の紹介
株式会社北日本金型工業
金型事業部機械課
マシニングセンタ・オペレーター
大八木 貴彬さん
(22歳)入社2年目
出合い
出合い
金型から成形、組立の一貫生産に
将来性を感じて
子供の頃からものをつくるのが大好きで、高校は地元の工業高校の機械学部に。当初は卒業後すぐに就職と思っていたのですが、高校の先生のすすめもあって、郡山の職業能力開発短期大学校の精密機械工学科に進学しました。
もともと就職は地元と決めていたので、就活は友人たちと情報交換しながら早い時期から開始しました。
5年間学んだ工学の機械系の勉強を生かせる会社が希望でした。そういう意味でも地元に多い金型メーカーは候補として、自分なりに調べたり会社訪問をしました。(株)北日本金型工業は射出成形もやっていて、金型からプラスチック製品まで一貫したものづくりをしている点が魅力でした。また会社訪問時も社員同士の仲がよいこと、工場がきれいで清潔感があったことも印象に残りました。
試練
試練
上司の言葉と同期の存在で
乗り越えた壁
入社後は金型部門と成形部門各グループ2週間ずつの2カ月間の研修があり、面談後に配属が決まります。僕は成形事業部に配属されドリルで金属加工を施す研磨を5カ月間担当。その後、金型事業部へ移動しマシニングセンタの担当になり、今に至ります。僕自身、学生時代の勉強が仕事に直結するわけではく、仕事は厳しいものと覚悟していました。マシニングセンタを担当してからは、さらに仕事が難しくなります。図面を読んで3Dデータをプログラムするには、材料や加工法など広範囲の知識と一貫した技能がないと対応できません。もちろん僕はまだまだで、上司や先輩が指示や指導をしてくれます。相談はできても、最終的には情報を整理して自分の頭で考えます。次々と新しい課題が壁のように立ちはだかって、本当に苦しい時期がありました。ある日、ミスをした時に上司から「へこんでいたら周りにも悪影響。しょげずにもう一度やってみろ」と言われ、なんとか乗り越えました。同じ部署に励まし合える同期がいたのも大きかったですね。
進化
進化
技能を磨き経験を積み上げて、
次のステップへ
もちろん今でも壁に当たるし、ミスもあります。でも最後に測定して問題がない時は本当にうれしい。
とくに初めて取り組んだものが思い通りに仕上がった時の喜び。それまでの苦労が吹き飛んで、さらなるレベルアップへの意欲がわきます。僕は比較的早い段階で一つの仕事を任されましたが、悩むことも多かった。でも失敗を恐れずチャレンジする精神が大切なんだと思います。成長のスピードは人それぞれ。今は同じ部署の3人の先輩に少しでも早く追いつくのが目標。技能者として日々少しでも進化していきたいです。
先輩から後輩へ
個人の成長への意識や努力を後押しする環境
大八木くんとは彼が高校卒業前、ちょうど私が人事担当になってすぐの説明会で一度会い、大学校時代に会社見学にきてくれて再会しました。縁を感じましたし、仕事への意識も高かったので、入社が決まった時はよかったなと思いました。彼には5年間の工業系の学習土台があったことと器用なほうなので、マシニングセンタへの配属は早かったですね。最初は大変そうでしたが、今は技能検定2級の取得を目指しているようで期待しています。
うちは平均年齢が35歳と若い社員が多く、社内はフレンドリーな雰囲気です。みんな気軽に声をかけるので新人もなじむのは早いですよ。商業系や普通高校出身者も多く、機械の安全性の向上もあって女性の技能者も活躍しています。仕事をする上で専門的な知識や技術は必要ですが、それは入社後でも十分学べます。それよりも大切なのは、視野の広さと柔軟な思考だと考えています。
株式会社北日本金型工業
昔は10年と言われていましたが、今は3年のスパンで、社会も技術も求められるモノも大きく変わっていきます。企業としては広い視野をもち、一日たりとも足を止めることなく、今後は開発設計部門を強化したい。取引先のリクエストでつくるのではなく、自分達から商品の開発や提案をしていきたいですね。
〒969-3461 福島県会津若松市河東町浅山字仲田40-1
TEL:0242-75-4731
http://www.njmould.co.jp/
1978年にプラスチックの金型メーカーとして創業。83年には成形部門を発足し、現在はプラスチック金型製作や射出成形、各種組立、成形製品の開発まで一貫して行う。扱う製品は時代の変化に合わせて多岐にわたり、近年は医療機器や医療ロボット関係、衛生や防災関連商品、アミューズメント関連などが中心。金属から樹脂化されてきたものの需要への対応も増えている。あえて定番商品を持たず、今までに蓄積したノウハウと対応力で様々な分野に挑戦している。時代を先読みして仕事の幅を広げていくスピードとフットワークには定評があり、2015年には経済産業省中小企業庁より「がんばる中小企業・小規模事業者300社」に選定された。
※ 所属・役職・年齢・入社年数は取材当時のものです。