令和3年度
建設業
さく井
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地下資源を掘り当て
人々の暮らしを豊かにする
「さく井(さくせい)」とは、地中・海底等から石油・天然ガスや温泉・水等を採取するための井戸等を掘削する技能です。新潟県の雪の多い地域では、井戸を掘って地下水をくみ上げ、道路に散水し雪を融かしています。そこで活躍しているのが、さく井の技能です。人の暮らしに欠かせぬ多様なエネルギー資源を得るために、職人の技能が役立っています。
技能者の紹介
技能者の紹介
株式会社 興和
坂井 祐史さん
33歳 入社11年目
入社したきっかけ
入社した
きっかけ
きっかけは「消雪パイプ」
雪国の暮らしを守る仕事
新潟県内の高校を卒業後、関東の工業大学に進学しました。専攻は建築・土木。街づくりなど、人の暮らしに密接に関われる仕事に興味がありました。その後、大学の専攻を活かして働きたいと思い、建築や土木関連の就職先を探していました。興和に興味を持ったのは、地元・新潟の生活に欠かせない「消雪パイプ」の施工に携わっていたからです。「消雪パイプ」とは、冬でも暖かい地下水を利用して道路などの雪を融かす設備です。井戸を掘り、ポンプを設置して地下水をくみ上げ、消雪パイプを通して道路等に散水し、雪を融かしていきます。新潟のように雪が多い地域では、道路から噴水のように水が出ているのを見たことのある方もいるかと思いますが、まさにあの水を吹き出す装置で、雪国では道路上を安全に行き交うために重要なものです。高校までは地元にいた自分ですが、このような装置の構造については知りませんでした。また、消雪パイプを設置する際に必要な作業である「さく井」も、まったく知りませんでしたが、逆に興味が湧いてきました。現在、興和において施工管理担当として、工事現場の監督を担っています。
私の仕事
私の仕事
現場管理責任者として
新潟の暮らしに貢献したい
私の仕事は、さく井の職人さんたちと一緒に地下水を掘り当てることです。掘削作業は1.5〜2カ月かけて実施します。さく井を行う際の穴の掘り方は、地層などに合わせて「ロータリー式」か「パーカッション式」の2つの工法があり、地層に応じて最適な方法を選択し、やぐらを設営して穴を掘り進めます。掘削におけるさく井の作業は職人さんたちに行なっていただくため、私は施工管理担当として、工事が計画通り進められているか、安全に配慮して作業に取り組めているか、を監督します。何か思いがけない事態が起こった際は、現場の仲間たちの知恵と経験を総動員して、解決へと導きます。例えば以前、担当した現場で、パーカッション式で掘り進めていた際に粘土層にぶつかり、先端の掘削用ビットが粘土にくっついて抜けなくなったこともありました。無事に地下水の存在を確認できたときは、ほっと一安心。この瞬間が一番、達成感を感じます。
今後の目標
今後の目標
将来は若者に
「さく井」の魅力を伝えていきたい
興和に入社してから、さまざまな資格を取得してきました。さく井の技能検定の1級も合格しましたし、最近では、監理技術者(機械)も取得しました。さく井の技能検定は、現場作業でどのような技能が必要なのか、自分でも理解したいと思い、取得したのですが、作業内容がよく理解できるようになり、非常に役立っています。今後は、一人でも工事責任者として仕事に携われるように、現場での経験を積み重ねて、腕を磨いていきたいと思っています。
現在、さく井の職人さんたちも高齢化が進み、若者が少なくなってきています。そうした現状を改善するために、私自身でも建設やさく井の仕事やそのやりがい・面白さを伝えていきたいです。雪国育ちでも「消雪パイプ」のことを知らない人がほとんどです。私たちの生活に欠かせない設備をつくるこの仕事に、たくさんの若者が魅力を感じ、一緒に活躍してくれる方が増えたら最高ですね。
先輩からの
メッセージ
単なる「作業者」ではなく
考える「技能者」を育てていく
さく井は、経験がものを言う仕事です。地中の奥深く、50メートル、100メートル、それ以上と見えない世界を掘り進んでいくため、経験がないとわからないことがたくさんあります。掘削する場所の地盤や地層を熟知する必要があり、「地域特性を理解する=工事経験が豊富な事業者」が重宝されます。そういった意味では、スキルの蓄積が如実に表れますし、長く働き続けられる仕事かもしれません。建設業界に限った話ではありませんが、これからの時代はますます機械化やIoT化が進みますし、単なる「作業者」であれば生き残っていけません。「人だからこそできること」が大切になってきます。それは、「考える力」だと思っています。「現場力」という言葉がある通り、工事作業は思いがけないことがたくさん起こります。そうした際に、「どう解決するか」のアイデアを導き出せるのは、人でしかありません。その訓練として当社では、1から10までを手取り足取り教えるのではなく、自分で思考できるように、課題を与えています。現場に出ると、年齢など関係ありません。誰もが自発的に動き活躍できるように、若手の育成に携わっています。
株式会社 興和
PDCAを通じて自己成長を促し資格取得もサポートしています
当社では、社員一人ひとりに目標を持たせ、自らPDCAを回しながら業務に携わってもらうことで、個人の成長を促しています。そのため、業務を効率よく遂行するための改善提案があれば、どのような立場でも声を上げることができますし、その声を受けて会社も生産性向上に取り組めるように努めています。また、社員が知識を広げて技能を高めるために、積極的に資格の取得を推奨しており、取得に向けた研修も定期的に開催するなど、その対策にも取り組んでいます。今後、現場の機械化やIoT化が進む中で、現場作業を深く理解し、人でしか成し得ない仕事を担うためにも、資格を有した技能者を育てることで、建設業界および広く社会に貢献してけたらと考えています。若い方々には、人の暮らしを支えるこの業界に、ぜひ一歩、飛び込んでもらえると嬉しく思います。
〒950-8565
新潟市中央区新光町6番地1
TEL:025-281-8811
https://www.kowa-net.co.jp/
新潟県に本社を構える株式会社興和は、防災・減災分野・インフラ管理分野・環境エネルギー分野と、多岐に渡る事業を展開しています。「快適な暮らしづくり」と「美しい自然環境の保全」を大切に、その両立を目指すべく、技術力・開発力の向上に努めています。
- 所属・役職・年齢・入社年数は取材当時のものです。
- 撮影用にマスクをはずした写真が掲載されておりますが、ソーシャルディスタンスを確保するなど取材は新型コロナウィルス感染症対策を講じた上で撮影しています。