令和3年度
建設業
サッシ施工
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建物の印象を左右する「窓」
専門技能が「顔づくり」を決める
建物の窓などに使用される「サッシ」を取り付けるには、ドリルやペンチなどの手工具を使った技能や溶接の技能など多くの技が必要とされます。建築設計図に基づいたサッシの選定から搬入、加工、取り付け、溶接、仕上げまで、職人たちは一連の業務を行い、建物の印象を左右する、大事な「顔づくり」を担っています。
技能者の紹介
技能者の紹介
株式会社 ホヅミ
中村 勇太さん
29歳 入社10年目
入社したきっかけ
入社した
きっかけ
「辛い」「しんどい」「怖い」
印象が覆された社長との面談
工場の仕事、介護の仕事、……。就職活動では、さまざまな業界・企業の話を聞いてみたものの、どれも働くイメージが湧きません。「これだ!」と思える仕事が見つからず、高校卒業後の進路を決めかねていました。そんな中、同級生に誘われ訪問してみたのが、ホヅミでした。建築業界の仕事であることは事前に聞いていましたが、サッシ施工についてはなかなかイメージが湧かず……。その上、建築業界に対して、「辛い」「しんどい」「怖い」というイメージがあり、内心、不安でした。しかし、話を伺うと勝手な想像を覆すほどの魅力を感じたのです。「手がけた仕事が街に残り続ける、やりがい」、「給与体系や福利厚生、各種保険など完備した、企業体制」、「未経験からでも安心して教われる、職人風土」、会社や仕事を知るほどに興味が湧いてきました。何より良し悪しを包み隠さず話してくれた社長の人柄に惚れたんです。信頼できる人の下で働きたい。それが、職人の道を歩みはじめた、きっかけでした。
私の仕事
私の仕事
球場、空港、県庁舎……
有名建築物を手がける
サッシ施工の主な仕事は、窓枠の取り付けです。現場により異なりますが、おおまかな1日のスケジュールは、朝の8時に朝礼を実施。当日の作業内容やポイントについて、職人同士で確認し合います。8時30分〜9時、実作業を開始。例えば、高層ビルなどの大きな建物ですと、1階ずつ窓枠を取り付けていき、順々にフロアを仕上げていきます。建設現場では、サッシ施工以外の工事も同時進行で行われているため、他の作業の邪魔にならないように進める必要があります。休憩はお昼も合わせて3度ほどはさみ、17時には完全撤収。現場は時間が命なので、残業はほとんどありません。仕事が終わった後に、プライベートに時間を割く余裕は充分あります。
そうして日々、窓と向き合うわけですが、期間の長い現場ですと施工を終えるまでに半年ほどかかることもあります。ようやく完成した建物を見たときは、心から嬉しくなります。名古屋ドーム、中部国際空港、岐阜庁舎……。「え!あの建物もホヅミ?」と思えるほど、当社は東海地方で有名な建築物に多数関わっており、そうした施工実績が街に残っていくのも、職人として誇らしい気持ちにさせてくれます。
今後の目標
今後の目標
考えて手を動かすことが経験値に
いずれは、現場のリーダーへ
ベテランの職人さんに比べると、自分はまだまだ半人前。現場でも先輩たちにサポートしてもらっていますが、ゆくゆくは自分が現場のリーダーとなって作業の取りまとめ役を担えたらと思っています。そのためにも、さらなる経験値を積み上げなければと考えています。今、私が仕事において大切にしているポイントは2つ。1つ目は、まずは自分で考えて手を動かしてみること。誰かに指示されて作業するだけでは、考える力や工夫する力が磨かれません。失敗もありますが、「自分なりの答え」を導くように意識しています。2つ目は、自分でやり切った上で、不明点や不安な点は先輩たちに相談することです。もやもやした状態で作業を続けると最悪、重大な事故につながる恐れがあるため、悩みは放置しないように努めています。当社の先輩たちは優しい方ばかりなので、口頭での説明はもちろん、実際に手本を見せてくれるなど、わかりやすく指導していただけます。私自身、この業界に入るまでは建築業界に対して漠然と「良からぬイメージ」を持っていましたが、実際はまったく異なります。興味がある人は、まずは飛び込んでみるのが一番かもしれません。
先輩からの
メッセージ
「見て学ぶ」から「教わり学ぶ」へ
経験ゼロから、一人前の職人を育てます
この仕事のやりがいと言えば何といっても、街のランドマーク的な建物に携わる機会があることです。例えば、名古屋駅前に建つ「モード学園・スパイラルタワー」。建物全体に捻れた形状を施されたそのビルは、街ゆく人々に印象を残す建物です。そんな特徴的な建築物に携わり、無事に完成を迎えたことは、職人として誇りを感じます。当時、施工で難しさを感じたのは、サッシ自体が特殊形状だったため、通常の施工方法にプラスαの工夫が必要だったことです。サッシは外壁との隙間を埋める役割も担うため、数ミリのズレも許されません。微細を詰めていくこだわりこそ、サッシ施工に必要な職人技だと感じています。この仕事では、ドリルやペンチ、溶接機など、さまざまな道具を使いこなしますが、誰もが初めから扱えたわけではありません。先輩たちと一緒に仕事に携わりながら、じっくり技能を習得してもらえたらと思います。昔は、「師匠の背中を見て学ぶ」のが当然でしたが、時代は変わり現在は、先輩から後輩へしっかりと教育する文化が根づき始めています。スキルが上達していくのは、とても楽しいですよ。
株式会社 ホヅミ
業界の発展を見据えて
家族のように、愛情を込めます
「人材を育成し、仲間を募る」。当社が目指すのは、培ってきた技能を次世代に引き継ぎ、業界全体の技能向上・人材育成に役立てることです。会社同士、職人同士が「仲間」として手を取り合うことで、業界への貢献を目指しています。例えば私が会長を務める施工組合において、積極的に研修を実施。若手職人たちが業務以外の場において、技能を向上したり、意見を交換したり、切磋琢磨できる機会を設けています。技能を「閉じた」ものにするのではなく、業界全体で「共有し合う」ものにすることが、業界の発展に繋がるのではないでしょうか。また、当社の人材育成においては、資格の積極的な取得を推奨しています。若手を育てる覚悟があるからこそ、教育には投資を惜しみません。その根底にあるのは、社員や業界に対する「愛情」でしょうか。自社も組合も、そのすべてが「家族」みたいなものです。結束を固め、より良い建物を築いていけるように、私は全力でサポートしていきたいと思っています。
〒470-0224
愛知県みよし市三好町東新月1-1
TEL:0561-34-1225
http://hodumi-building.co.jp/
鋼製サッシの取り付け業を専門とする、株式会社ホヅミ。愛知県を中心に東海地域に根ざして事業を展開し、創業から50年以上の歴史を重ねてきました。YKK APとの専属契約を結び、その協力施工会社として精力的に活動。代表の野々山は、全国500社以上を束ねる同施工協会の会長も務めています。
- 所属・役職・年齢・入社年数は取材当時のものです。
- 撮影用にマスクをはずした写真が掲載されておりますが、ソーシャルディスタンスを確保するなど取材は新型コロナウィルス感染症対策を講じた上で撮影しています。