平成28年度
製造業
機械検査
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0.001mmの精度にこだわり品質の
砦を守るスペシャリスト
自動車製造や航空機・宇宙産業に欠かせないゲージ、治工具などの設計・製作で、世界からも一目置かれるものづくり集団。最高峰の技術と品質を求められる精密工業の世界の中でクオリティを守り、最後の砦として支えている機械検査の仕事。今日も0.001ミリの精度に挑んでいる。
技能者の紹介
技能者の紹介
渡辺精密工業株式会社
品質保証部
甲斐 幹朗さん
(26歳)入社4年目
出合い
出合い
ものづくりが好きで
長く技術を磨ける製造業を志望
生まれも育ちも豊田市で父も自動車関連の仕事をしていたので、車には少なからず興味がありました。また子供の頃からものづくりが好きで、スピーカーや自作PCなどを製作していました。大学は情報系の工学科でプログラミングを専攻したのですが、できれば製造の分野で仕事をしたいという思いがありました。そこでこの会社の説明会に参加したのですが、ゲージや治具についてはまったく分からず、ただ難しいことをやっているなという印象でした。
実は一番魅かれたのは、社員同士が年代を問わず仲がよい会社の雰囲気です。ここなら長くじっくりと技術を身につけられると思いました。入社後は半年間、全員が現場で研修しますが、僕が配属されたのは円筒研削盤の部署でした。その後、設計に興味があるということで、製品全体を見渡せて、測定にも携われる品質保証部で基礎から学ぶことになりました。
進化
進化
製品を最終的に測定することの
責任を痛感
現在も品質保証部で主に検査を担当しています。当社の厳しい精度で正しく加工されているかどうかを判断する最後の砦です。ものづくりの現場にいると自分の加工する部分しか見えませんが、この部署は製品全体を確認することになるので大変勉強になります。最初は先輩から少しずつ教わりながら、現場を行き来して覚えていきました。自分の場合は特に複数の部品を組み合わせたものを組み付け・検査することが多いです。不具合が発生した場合は、どのような理由で不具合になったかも考えて、可能な限り現場とスムーズに対応し、改善していけるように心掛けています。
仕事を徐々に理解してくると、ゲージや治具の重要性を改めて感じます。ゲージのおかげで、今の自動車や航空機などが効率よく生産できる。そんな仕事の一端を担うことが楽しいし、達成感もあります。今は後輩もできて、自分が他の部署からの情報を共有するなど、若手のアドバイザー的な役割も担っています。
目標
目標
最短で機械検査の特級技能士になり
将来は設計業務に
昨年、会社の協力もあり技能検定機械検査(機械検査作業)2級の資格を取得。1級の受験資格は2級取得後2年以上のため、ひとまず業務に専念し、今年の末頃から徐々に準備をしたいと思っています。またその先の特級を見据えて、日々品質の保証・管理の質を向上させつつ検査の技術を磨いていきたいです。一応、目標は最短年数での資格取得で、達成できるのではと考えています。さらに、当初の希望だったゲージ・治工具の設計というのも視野に入れていますが、これはもっと製品に対する知識を深め、経験を積んでからの話。これからを楽しみにしています。
先輩から後輩へ
困難に直面しても
決して諦めず努力を継続できるかが重要
この会社では、入社決定まで先輩社員との座談会や工場見学を含め、面接を5、6回はします。甲斐くんの場合は「細かいところに気がつく」「主体者意識が強い」ところがポイントでした。実際、入社後はたいへん優秀で、方向性を示すと自分が何をしなくてはいけないか考え、予想以上の成果をあげてくれています。10年ほど前から採用方針や教育システムなどを体系立てて取り組んだためで、それが低い離職率にも繋がっています。また、若い人を中心に技能検定取得のサポート体制も整備。うちは社員の仲がよく、会社行事も多く、強制していないのに90%以上の参加率です。
仕事とは「合う合わない」ではなく、仕事の中でやりがいや幸せを自分で見つけて築くもの。当社は文系・理系も一切問いません。誰もが最初はできなくて当然。ものづくりが好きで、世の中の役に立ちたい、誇りを持って働きたいと「強く思える人」。その気持ちがあれば、困難にも負けず成長できます。
渡辺精密工業株式会社
我が社は“ビッグカンパニーよりグッドカンパニー”を目指しています。量より質を追求し、ドイツのマイスターのような名工を輩出したいですね。そういう意味で、努力して長く勤めてくれる人材が欲しい。将来は誰にもわからないが、未来でも「企業は人」です。柔軟性があり、時代の波を読み取る力を持ち、しかも直感を加えた対応ができる人材の育成が役割と考えています。
〒455-0831 愛知県名古屋市港区十一屋1-59-1
TEL:052-383-8282
http://www.WSL-G.co.jp
2017年で創立70周年を迎える、ゲージ・検査具・治工具・金型部品の設計・製作を専門とするスペシャリスト集団。自動車産業を中心に主にエンジン製造の精密機器に関わり、完成度の高い製品を提供している。また、アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区(国際戦略特区)の指定も受け、0.001mmの高精度治工具を継続的に製作、航空宇宙製品の品質向上に貢献している。製品をつくるとともに、人をつくる(技術の継承)ことも重視。70歳を超えた社員も働け、時短勤務・出社日数の調整など柔軟な体制で「生きがい」として仕事に取り組む体制を心掛けている。文系・理系などの経験を問わず採用し、研修期間は全員製造業務からスタート。単なる職人でない「誇りを持ち働く技術者」集団としての自負を持っている。
※ 所属・役職・年齢・入社年数は取材当時のものです。