平成28年度
製造業
機械加工
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製造業の品質を支える
高精度のステンレス加工部品
日常のさまざまな場面で使用される金属部品。清涼飲料水や医薬品の製造工場で厳しい安全性を求められるステンレス加工部品。マシニングセンタなど最先端の機械を駆使して金属を削り、加工するオペレーターたちが技能を磨きあげ、精度を限界まで追求して多くの重要な部品を日々つくりあげている。
技能者の紹介
技能者の紹介
株式会社アイ・エス
製造部製造2課フライス工程担当
原 亮さん
(24歳)入社6年目
出合い
出合い
ものづくりの楽しさ、魅力を体験して
歩み出した道
僕は地元の工業高校の頃から、汎用旋盤などを使って作業するのが好きでした。だるま落としやVブロックなどを製作する楽しさを体験して、この道に進みたいと思いました。就職前、(株)アイ・エスの工場見学で、精密機械や製品を見て、この会社はすごいと思いました。詳しく説明してくださったり、黙々と仕事をしている先輩の姿を見て、僕もここで働きたいと感じたんです。
入社当初は分からないことばかりで、なかなか機械には触らせてもらえませんでした。当時の作業内容は午前中は切粉(きりこ)(加工で出る金属粉)の回収や製品の脱着、バリ(金属の切断面のはみだし)取りなど。午後もバリ取りとドリルの研磨、オペレーターになるためのプログラム作成の勉強など、今とはまったく違うものでした。
高い壁
高い壁
責任の重さとともに醍醐味も味わった
初めての「作品」
入社2年目くらいから機械での金属加工の段取りを、3年目になると簡単な作業なら一人で図面を見て、材料を削る刃物の種類まで自分で判断します。機械を任されるようになると、仕事も急に難しくなります。図面と材料を渡され、図面を読んでどう加工するか、オペレーターがプログラムを決めなければなりません。任された最初の頃は先輩ならすぐにできるようなことも分からず、段取りに何時間もかかりました。その時はあきらめずに先輩に相談して乗り切れましたが、今思えば新人の頃よりも2~3年目の方が大変でした。でも初めて自分で図面を見て、材料から削り上げた充填機のバルブの完成品を見た時は、本当にうれしかったですね。
目標
目標
集中力と繊細さが求められる
世界で技能検定1級を目指す
現在、2軸のNCインデックスを搭載した縦型のマシニングセンタを2台担当しています。金属を削る時は、油煙も出て一見豪快ですが、実際には100分の1ミリの微調整を繰り返すような、集中力と繊細さが必要な仕事です。また、ミスをしたり落としたりして傷つけると不良品になるだけでなく、前工程の人の作業までやり直しになります。予備がない状態での作業なので、集中力を切らさず、常によく確認することを心がけています。
6年目の現在でも技能的にはまだまだです。技能検定は機械加工(マシニングセンタ作業)3級を取得、いずれは自分も1級を取りたいと考え、測定器の寸法測定技術を勉強し直したり、計算の公式を覚えたりしています。1級を取得するだけでなく、先輩からも頼りにされるそんな技能者になることを目標にしています。
先輩から後輩へ
OJTや技能検定を通じ全社を挙げて技能者を育成
原くんが入社前に工場見学に来た時、私が案内しました。原くんは入社3年目で機械を任され、覚えがいい方だと思います。後輩もできて、最近は態度もキリッとしてきましたね。
新入社員には仕事を通じてOJTの形で教え、基礎を身につけたら、どの刃物で加工するか?削る順番は?どうすれば最善の方法なのかを決定し、形にしていきます。オペレーターとしての経験はこのような時に生かされます。弊社では手作業でなければ出せない仕上げ面や複雑な製品の精度検査など、作業に関わる事にはすべて技術が必要なのです。弊社にとっては、技能者の育成は大切な課題です。
技能者育成の一環として、技能検定の取得も支援しています。業務にもよりますが、オペレーターなら3~4年でほぼ全員が受検をしています。
株式会社アイ・エス
私たちは「つくり溜め」ができる仕事よりも誰にもできない「富士山のてっぺん」のような仕事を目指してきました。毎日つくるものが変わり、しかも精度も難易度も高いので社員は大変だと思います。でもつくれるのは私たちだけという思いで、日々技術の向上を図っています。
〒708-0331 岡山県苫田郡鏡野町布原297-8 津山産業流通センター内
TEL:0868-28-8805
http://www.ikeda-is.com/
(池田精工株式会社/株式会社アイ・エス)
医療関係や宇宙・航空関係、国内トップ企業の主要部品など高付加価値の金属部品を手掛ける1972年創業の池田精工株式会社。岡山県津山周辺を一大ステンレス加工基地として飛躍させた主要な企業の一つでもある。株式会社アイ・エスは同社社長であり、池田精工の会長でもある創業者、池田晃さんが1984年に医療や食品に関わるサニタリー部門として独立させたもの。「他社が追随できないような仕事」を目標とした、超精密金属加工製品を製作している。とくに飲料などをボトルに充填する「食品用無菌バルブ」など、6割以上の国内シェアを持つような機械メーカーの重要部品、心臓部となるような部分の製作で高い信頼感を集めている。
※ 所属・役職・年齢・入社年数は取材当時のものです。