入職促進
ガイドブック

平成29年度

建設業

かわらぶき

かわらぶき

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街の風景となる瓦屋根を手がけ
後世に残していく

日本の街並みを象徴する、寺社や家屋の瓦屋根。瓦ひとつをとっても、伝統的な和型の瓦や、さまざまな色と風合いが特徴の洋瓦など、多くの種類があります。それぞれの特徴に精通し、高い技能で屋根をつくり上げていく「かわらぶき職人」。手がけた屋根が後世に残る、魅力ある仕事です。

技能者の紹介

技能者の紹介

株式会社ムラタ瓦

中西なかにし 智也ともやさん

(19歳)入社2年目

株式会社ムラタ瓦 中西智也(なかにし ともや)さん

入社したきっかけ

入社した
きっかけ

偶然見つけた
「かわらぶき」という仕事。

高校の学科は林業科でしたが、進路について考えるまでは、具体的にどんな仕事に就きたいか思い浮かべることがありませんでした。漠然とですが、机に向かう仕事よりも、体を動かしてものをつくる分野に進みたいとは考えていました。

3年生になって就職活動を始めたとき、今の会社の募集案内をたまたま発見。「かわらぶき」という仕事も、その時に初めて知りました。でも、「ほかの人とは少し違った仕事をしてみたい」という気持ちもあったので、興味を持ったんです。それがきっかけで、現場見学に参加しました。屋根の上で汗を流すかわらぶき職人の姿がカッコよくて、憧れの存在になりました。入社の決め手になったのは、「自分たちがつくりあげたものが、目に見える形で残っていく」という仕事の魅力を教えてもらったことです。偶然に知った世界ですが、これも何かの縁だと思い、挑戦してみようと思いました。

中西さんの1日のスケジュール

わたしの仕事

わたしの
仕事

奥の深さに魅了される
かわらぶき職人の世界。

入社後には、先輩たちの仕事の手伝いを通して、かわらぶき職人の仕事だけでなく働く上での心構えまで、みっちり教えてもらいました。2年目の今では、週1回2年制の訓練校にも通わせてもらい、現場と学校の両方で、かわらぶきを学んでいます。

それでも、思っていた以上に難しい仕事だと感じています。かわらぶきの工程そのものは、どの現場でも大きくは変わりません。でも、実際に瓦を葺(ふ)いていくときには、屋根の形や、使う瓦に合わせた高い技能が必要になるんです。屋根の仕上がりの良し悪しは、美しさも大切ですが、長く雨を漏らさない仕事が一番で、先輩たちは、「瓦を流れていく雨水を見れば分かる」と言います。僕にはまだ、はっきりとした違いは分かりませんが、こういう感覚を身につけている瓦職人はカッコいいと思うんです。早く先輩たちと並んで仕事ができるように、今はかわらぶきの知識や技能を、一生懸命、身につけているところです。

わたしの仕事

今後の目標

今後の目標

見えないところにも心をこめて、
誇れる家づくりをしていきたい。

ゆくゆくは、現場の職人たちを取りまとめる「職長」になりたいですね。そのためには、技能で一人前になることはもちろん、人としての姿勢が大切だと感じています。

かわらぶきの仕事では、屋根の葺き替えをすることが多くあります。はじめに古い瓦をはがしていくのですが、その時、過去に職人たちがどういう仕事をしたかが、あらわになるんです。良い屋根は、時が経っても瓦のズレが小さく、下地もていねいに張られています。そんな仕事ぶりを目の当たりにすると、見えないところにも心をこめて技を発揮することが、かわらぶき職人として必要なんだと実感します。そういった経験を積み一人前になって、やっと、職人たちが同じ心構えで仕事ができるようにまとめ上げる職長への道が現れるのだと思います。今は、はるか先のことに感じます。でも、縁があってせっかく飛び込んだこの世界。腕と心を磨いて、いつかは職人たちに認められる職長になりたいです。そして、自分で瓦を葺いた家を、未来に残していきたいですね。

今後の目標

先輩からの
メッセージ

実践を重ねると、技能は自分のものになる。

かわらぶきの技は、実践を繰り返すことで、だんだんと身についていくものです。
そのため、後輩には、まず先輩が仕事を見せた後に、実際に手を動かしてもらいます。やってみると当然、できないところや疑問点が出てくる。自分なりに試した方法やうまくいかないことを、自分の言葉で伝えてもらうんです。それに対して、初めて、先輩が言葉を通して伝えていきます。この繰り返しを、いかに積極的に取り組めるかが、成長の秘訣だと思います。その点、中西くんは、よく頑張っていますよ。屋根の上での仕事のため、暑さの厳しい夏は正念場なのですが、ひと夏、ふた夏と乗り越えるうちに、かわらぶき職人としての技能や心構えが備わってきています。

職長・かわらぶき士 平井竜次さん

平井 竜次さん(36歳)

職長・かわらぶき士
入社16年目

株式会社ムラタ瓦

代表取締役 村田良智さん

代表取締役

村田 良智さん(52歳)

職人は、自分の技に対する「謙虚さ」と「自信」のバランスが大切です。天狗になっては駄目。一方で、受けた仕事をきっちり仕上げる覚悟を持つには、自信も必要。技能を身につけて、それを発揮しつづけるためには、人としての心構えが大事です。立ち居振る舞いや言葉遣いも大切に、「よい心でよい仕事を目指そう」と伝えています。職人としても、人としても成長したい方には、うってつけの世界です。

〒622-0032 京都府南丹市園部町高屋妙見10
TEL 0771-62-2054
http://www.muratakawara.co.jp

明治21年創業のムラタ瓦は、四代130年にわたって続く、京都府指定の「京の老舗」。脈々とつづく伝統の技によって、かわらぶき職人の集団として厚い信頼を築いてきました。現在でも、技能グランプリ ※において日本一を獲得したり、社内外の瓦職人が技能を学ぶ場「ムラタ瓦塾」を立ち上げたりと、かわらぶきの技能の伝承と向上に、積極的に取り組んでいます。

※技能グランプリ:年齢に関係なく、特級、1級及び単一等級の技能士が熟練技能を競う全国規模の技能競技大会。

株式会社ムラタ瓦

※ 所属・役職・年齢・入社年数は取材当時のものです。